フィリーズとマイナー契約で合意した阪神の青柳晃洋に開幕メジャーの可能性はあるのか…GM補佐は「ロースター枠を獲得するのは難しいがユニークな戦士だ」…残る空席は中継ぎの一枠
ただ同GM補佐が口にしたように、マイナー契約からメジャーの40人枠に食い込むのは、並大抵の道ではない。
地元のNBCスポーツ・フィラデルフィア局によると、フィリーズの先発は、絶対的エースのウィーラー、アーロン・ノラの両右腕に、クリストファー・サンチェス、レンジャー・スアレスの両左腕という4人の昨季の2桁投手に加え、ヘスス・ルサルドの5人が固まっていて青柳が入り込む余地はない。
しかし8人を予定しているブルペンは、カルロス・エステベス、ジェフ・ホフマンの主軸2人がFAで退団したこともあり、ブルージェイズからジョーダン・ロマノを補強したが、マット・ストラム、オリオン・ケルケリング、ホセ・アルバラード、ホセ・ルイス、タナー・バンクス、ジョー・ロスの7人で、まだ一つだけ空席がある。青柳がメジャー契約を勝ち取るとすれば、そのリリーバーとしての枠。同メディアは、「その一つの枠を争うことになる」と指摘した。
阪神では、先発起用されてきたが、東京五輪のメンバーに選ばれた2021年の侍ジャパンでは、強化試合から中継ぎ起用されており問題はないだろう。
一方でメジャーではワンポイントの投手起用は禁止されているので、対左打者への対応がカギになる。昨季は対右打者の被打率は、242だったが、対左打者となると.316と悪くなっている。岡田彰布氏が指揮をとった2023年、2024年と開幕投手に抜擢された。2023年は優勝、日本一に貢献したが、調子の波が激しく、昨季は2軍暮らしが長く、12試合、2勝3敗、防御率3.69の成績に留まっている。2年連続の最多勝、最高勝率で、2022年には、防御率タイトルも加え、投手3冠に輝いた際のコントロール、キレを取り戻し、安定した調子の維持を、招待参加が認められたキャンプでアピールする必要がある。
過去に青柳のようなタイミングを取るのが難しい変則投手の成功例はある。慣れられて継続に苦労したという難点はあるのだが、フルスイングしてくるメジャーの打者には有効で、歴代の侍ジャパンの監督は、WBCや五輪に挑む際に、必ず変則投手を一人、代表メンバーに加えた。
現在ヤクルト監督の高津臣吾は、2004年にメジャー挑戦し、ホワイトソックスの1年目にクローザーとして59試合、6勝4敗19セーブ、防御率2.31の成績を収めた。2018年には、西武の牧田和久がパドレスと契約し、防御率5.40と安定感に欠いたが、29試合に登板している。また韓国のアンダーハンドの金炳賢もストッパーとしてダイヤモンドバックスなどで存在感を示した。
とにかく青柳がメジャー昇格を勝ち取るには、内容はもちろん結果として防御率0をキャンプでの実戦でキープし続けるしかない。
過去にマイナー契約からメジャー契約を勝ち取った日本人は10人以上いる。古くはパイオニアの野茂英雄もドジャースとのマイナー契約からオープン戦で結果を残し続けてメジャー契約を勝ち取った。
フロリダのクリアウォーターで行われるフィリーズのバッテリーキャンプは2月11日からスタート。2月17日からフルチームのワークアウトが始まる。