「ソフトバンクは人的補償の指名で巨人との違いを見せた」巨人大物OBがFA甲斐拓也の人的補償に小林誠司でなく28歳右腕の伊藤優輔を指名したホークスの戦略を称賛
広岡氏は「伊藤は記憶にある」という。
「フォームにクセがなくボールに力があった。都立高出身で頭もいいんだろう。見所のある投手だと思っていた。手術を経てやっと芽が出てきたところで、これからが楽しみな投手。ソフトバンクの編成がしっかりと調査をしていたんだろうな。ソフトバンクは、育成出身の選手がどんどん育っている。メッツの千賀(滉大)にしろ阪神でブレイクした大竹(耕太郎)もそうだろう。編成に選手を見る目があり、3軍、4軍と選手を抱えて自前で生え抜きを育てるシステムが確立されている。そこが巨人との違いだよ。今回ソフトバンクが小林でなく伊藤を選んだことで、その違いが如実に表れた。ワンちゃん(王貞治会長)が自らの経験をもとにそういうフロントを構築したんだろう」
皮肉なことに巨人へ移籍した甲斐も育成ドラフト出身。昨季は、開幕前から川村友斗、仲田慶介、緒方理貢の「育成三銃士」が話題を呼んだ。
広岡氏は、そのソフトバンクとは、対照的にFA補強に走り、可能性を秘めた伊藤を手放すことになった巨人の球団フロントに苦言を呈する。
「巨人も、戸郷(翔征)、山崎(伊織)、井上(温大)と若手の投手が育ってきたが、あと2、3人出てこないといけない。3軍を作り、育成に目を向けているのは伝わってくる。しかし育てるのが下手。優勝して今が育成のチャンスというときに人的補償で候補の一人を失った。やはりソフトバンクとは、根本的な球団の考え方が違うんだろうな。FAで外から選手を取るのではなく自前で育てないとダメなんだ。指導者の育成も含めて、球団主導で進めなければならないこと」
小久保裕紀監督は伊藤を先発で起用していく考えを明かしている。
「ソフトバンクが伊藤をどう育てるか見もの」
広岡氏は巨人からソフトバンクへ移籍した伊藤の動向に注目している。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)