「遅刻もした」「ようわからん戦術が山盛りで出てくる」「指導者に向いてない」引退した元日本代表FW柿谷曜一朗が第二の人生に異例の「サッカー系文化人」を選んだ理由
もっとも、この時点では現役続行への思いも同居させていた。柿谷のもとには複数のオファーが届き、正式なオファーにはならなかったものの、セレッソに3度目の復帰を果たして最後のシーズンを終える、という構想ももちあがった。
しかし、時間の経過とともに柿谷のなかで「引退」の二文字が大きくなった。
「7、8割くらいはやるつもりだったし、若い選手たちと同じテンションでもやれるけど、それは失礼やなと思うようになって。綺麗に現役を終えたいと思っている選手がいれば監督にも、もっと上を目指したいと思っている選手たちにも失礼だと思ったし、むしろ邪魔やなと。これはきっぱり(引退を)決めたほうがいい、と」
最後に背中を押してくれたのは最愛の家族だった。
柿谷は2016年12月にタレントの丸高愛美さん(34)と結婚し、6歳の長女をはじめ3人の子どもたちがいる。今年に入って「パパ、サッカーをやめんねん」と告げた直後の反応を思い返した柿谷は、思いがけず涙腺を決壊させている。
「そうしたら『やったぁ、イエィ』と大喜びして。ずっと家におってくれるの、と言われたときには『ごめん』という気持ちになりました。一番上の子は大阪で生まれて、名古屋へ行って、次は徳島へ行くたびに友達も変わって、自分が遊び相手になってあげなければいけなかった。これからは家族の時間をたくさん作ってあげたい」
会見でセカンドキャリアを問われた柿谷は「サッカー系文化人として、幅広く活動していければ」と即答した。何を意味しているのか。囲み取材でサッカー系文化人の真意を問われると、やんちゃぶりを発揮している。
「文化人と言っておけばいいかなと思って。解説の仕事もあまり興味はないし、奥さんもいろいろと仕事をやるはずなので、夫婦でいろいろとやっていけたらとも思っています。やんちゃな感じ、というイメージをちょっとなくしていかなあかんのかなと。今月が終わったらもう給料がないので、お金稼がなあかんからね」
夫婦でのテレビCMは、と問われると「もちろん」と笑った柿谷は、監督をはじめとする指導者になる道については明確に否定している。
「指導者に向いていないというか、あまり興味がないのが本音で。僕みたいな人間は指導者になるべきではないと、僕自身が一番わかっているので」