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井上尚弥が計量で「完成形に近づいている」と自画自賛する肉体を披露(写真・山口裕朗)
井上尚弥が計量で「完成形に近づいている」と自画自賛する肉体を披露(写真・山口裕朗)

今日ゴング!「気がついたらダウンしているパンチ」井上尚弥がグッドマン戦2度中止の特異な状況で韓国人の代替ボクサーのキムを相手に試される3つの重大事項とは?

 

 大橋会長は、現役時代に韓国の英雄とも呼ばれるチャン・ジョングの世界ベルトに2度、挑戦して敗れたが、WBC、WBAの世界ミニマム級のベルトはいずれも韓国人王者から奪うなど黄金期の韓国人ボクサーとの対戦に因縁がある。それだけに「当時のコリアンファイターに日本人はみんな勝てなかった。その片鱗がキムにはある」と、警戒心を解かない。
 過去7人日本人を撃破してきた日本人キラー。本人も「日本人との戦いが一番簡単。特性もわかっているので崩すのは簡単」と豪語する。「井上選手は最高の頂点にいるのでちょっと違うが、その日本の選手の特性を井上選手も持っているのは事実。それを知っているので自信がある」とも言い放っていた。
 5歳で孤児院に入り、親の顔を知らず「拳ひとつで人生を変えるため」ために20歳からボクシングを始めた。ハングリー。しかも韓国のボクシング界は、元WBC世界フェザー級王者のチ・インジンが王座を剥奪された2007年以来、世界王者が不在だ。韓国人ボクサーの世界挑戦は、2015年11月にWBC世界ミニマム級王者に挑んだペ・ヨンギル以来、9年2ヶ月ぶりという暗黒期にある。キムは「何か背負うものがあるとは思っていない。私対井上の戦い」とも語っていたが、こういうボクサーは心を折らない。
「韓国版ロッキーだね。彼の経歴を聞くと、孤児院で育ち、精神的な強さもある。逆にチャンスと捉えて、やる気を見せ、闘志をメラメラと感じる」
 それが大橋会長の知っている韓国ボクサーの特徴でもある。
 井上が、この特異な状況で迎える防衛戦で試されることは3つある。
 ひとつは、心を折らないキムをどうキャンバスに沈めるのか?というフィニッシュの形だ。キムはドヘニーのように試合を途中で投げ出すことはしない。
 しかも元6階級覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)と、元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)のそれぞれのスタイルを標榜していることから「パッキャ・ウェザー」のニックネームを持つ。攻撃に転じると穴だらけだが、サウスポースタイルからディフェンスに徹すると上体が柔らかくボディワークを駆使してクリーンヒットは簡単ではない。「楽に終わらせない。最後まで自分の姿を見せたい」との言葉からすると、少しでも長引かせようと、そのスタイルを採用する可能性もある。
 井上は「攻撃を全面に出すのか、ボクシングIQでいくのか」と会見で語っていた。筆者はキムの意識を断ち切るしか倒す手段はないと考えているのだが、参謀である父の真吾トレーナーは、「倒すってタイミング、流れなんです。相手が気がついていたら倒れていたというパンチ。それを尚は打てます。もちろん心を折るフィニッシュもある」と説明した。

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