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井上尚弥が4回KOで韓国のキム・イエジュンを粉砕(写真・山口裕朗)
井上尚弥が4回KOで韓国のキム・イエジュンを粉砕(写真・山口裕朗)

「屈辱的。代役を引き受けたことを後悔している」当日に過去最重量だった井上尚弥が「来い!」と余計な挑発をした韓国人キムを4回KOで粉砕し号泣させた理由とは?

 実は、井上の当日体重は過去最重量だった。55.34キロのリミットから約7キロプラスの62.9キロ。昨年9月のTJ・ドヘニー(アイルランド)戦では、当日体重を10キロ以上増やしてくる相手に対抗するため62.7キロでリングに上がった。その影響からか動きは悪かった。だが、今回はグッドマン対策にスピードを重視した。1か月余計にトレーニングを積んだことでさらにその肉体はシャープに見えた。グッドマンが相手ならリカバリーの体重も軽くしたのだろうが、キムに変わったことで「感覚的に戻していく」と語っていた。ごく自然にリカバリーした結果、ドヘニー戦より、さらに200グラム増えていたのである。井上も「そうなんですよ。自分でもびっくり」と言う。
 なのにキレやスピードはドヘニー戦とは見違えるほど良かった。リング上では「ボクサーとしての完成度は自分自身でも測れない」とも口にしたが、その肉体は、スーパーバンタム級として完成に近づき、そして次に見据えるフェザー級への転級可能性をより現実的にした証拠である。
 62.9キロはライト級とスーパーライト級の間のウエイト。キムのプロモーターであるマイク・アルタムラ氏は、井上のフェザー級転級に「彼はこの時代の最強の選手。史上稀に見るパウンド・フォー・パウンドだからどの階級に行っても強い。マニー・パッキャオが8階級(マイナー王座を含めて)を制覇し、フロイド・メイウェザー・ジュニアはスーパーフェザー級からスーパーウエルター級まで上げた。井上のこの質の高さと強さを見れば、フェザー級だけではなくて、もっと上げても強さを発揮する」と太鼓判を押した。
 ただ井上自身はフェザー級転級について「すぐに上げるということはない。まだスーパーバンタム級で戦わなきゃいけない相手もいる」と答えた。
 この先にやるべきミッションが待っている。
「2025年は海外での試合をしたい。今年の春はラスベガスで試合をします」
 リング上でそう宣言した。
 まず4月に米ラスベガスに再上陸。IQが高いことで知られるWBC1位の無敗のメキシコのホープ、アラン・ピカソを迎え、そして秋には、サウジアラビアで、因縁のWBA世界暫定王者、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)とのビッグマッチが控える。昨年11月に3年30億円の異例の大型契約を「リヤド・シーズン」と結び、この日のトランクスのベルトラインに広告を入れたモンスターが、そのサウジに進出するのである。そして2026年にあるのが、WBC世界バンタム級王者、中谷潤人(M.T)との究極の日本人対決。その先には、フェザー級の強者たちが待ち受ける。

 

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