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井上尚弥の仰天プランが明らかになった(写真・山口裕朗)
井上尚弥の仰天プランが明らかになった(写真・山口裕朗)

「井上尚弥がキャリア後半にやるべきはファンが望む試合」なぜモンスターの仰天プランが具体化したのか…米上陸→サウジで因縁暫定王者→フェザー級転級→階級を再度戻して中谷潤人

 現スーパーミドル級の3団体統一王者のサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)がWBCとWBAのミドル級のベルトを持ったままWBA世界ス―パミドル級王者のロッキー・フィールディング(米国)に挑戦して3階級制覇に成功し、再びミドル級に戻り、WBC&WBA王者としてIBF世界同級王者のダニエル・ジェイコブス(英国)と戦い、ミドル級の3団体を統一したことがある。
 また今回の試合前に井上とSNSで交流したことで話題となった現WBA世界ライト級王者のガーボンタ・デービス(米国)もWBA世界ライト級王者時代にひとつ下のWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者のレオ・サンタクルス(メキシコ)と異例の2階級同時世界戦を戦い、KO勝ちし、その後、2階級のベルトを保持したまま、WBA世界スーパーライト級王者のマリオ・バリオス(米国)と対戦して11回KO勝利し、同時に3階級のベルトを保持するという偉業を達成している。
「ベルトを返上してでもファンが望む試合をしていきたい。ベルトを何個取ったじゃなく、いくら稼いだかが大事で、そうさせるのが私の仕事。ファンが望む試合をしていきたい。キャリア後半に来ている今の井上がやるべきのはそこ」
 大橋会長は仰天プランを立てた理由をこう説明した。
 井上自身はこれらの計画を進める最終的な確信をキム戦で得たという。
「今フェザーで戦える体は出来あがってきている」
 キム戦の当日体重は過去最重量だった。55.34キロのリミットから約7キロプラスの62.9キロ。昨年9月のドヘニー戦では、当日体重を10キロ以上増やしてくる相手に対抗するため62.7キロでリングに上がったが、それよりさらにプラス200グラムだった。
「ドヘニー戦は無理して増やした感はあったが、今回はナチュラルにその体重が仕上がった。体もでかくなってきている。昨日の当日の体重であれば十分フェザー級で戦える。体重が上がってスピード、キレが落ちているようではダメだが、昨日の試合を見てもらえばわかる通り、スピードも全然落ちていない。全然、戦っていけるなというのを確認することができた」
 62.9キロはライト級とスーパーライト級の間のウエイト。フェザー級のリミットである57.15キロからでも5キロ戻しくらいの体重だから十分に戦えることになる。大橋会長も「スーパーフェザー級までいける。ライト級の選手とスパーをしても圧倒するパンチがある。階級を上げるとスピードが生きてくる。昨日もスピードがあった」とフェザー級転級に太鼓判を押す。
 もしこの計画がすべて実現すれば、年に4試合を消化することになる。
 これもトップボクサーとして異例だ。
 大橋会長は「ダメージがないからできる。激闘スタイルだったら年に1、2回が限界だけど、井上尚弥や打たれていないから年間4試合は全然厳しいことじゃない」と説明。井上も、「4試合あるということは、オフの期間も短くなり、体が戻らないまま、試合の感覚があるまま進んでいけるので、それはまたいいこと」と、まったく意に介していなかった。
「3選手は強い選手。本当に気が抜けない戦いになってくる。3日間だけ休んでまたトレーニングしたい」
 世界のボクシングファン、そして井上自身をワクワクさせる戦いが始まる。

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