
なぜ古橋亨梧は19億円を超える移籍金でセルティックから仏レンヌへのステップアップに成功したのか…現地報道で見えてきた裏事情
実は今シーズンが開幕する前に、古橋は代理人事務所を英プレミアリーグでプレーする選手を中心に、数多くのスターをクライアントにもつ英国の「CAA Base」に変更している。それまではドイツを拠点とする代理人事務所だっただけに、古橋の心境に変化が生じているのではないかとセルティックのサポーターをざわつかせた。
不安は的中する。古橋の退団が報じられはじめた先週末になって、スコットランドメディアの『Daily Record』はロジャーズ監督のコメントを伝えている。
「この状況は突然起こったわけではない。亨梧は数カ月前から退団の意向を示し、ついに退団を希望する段階にいたった。亨梧を失いたくなかったが、彼がこのクラブで成し遂げてきた仕事、年齢、そして現状を受け止めないといけない」
今月20歳に30歳になり、ベテランの領域へと差しかかった古橋の意思が尊重された状況で、オファーを出したのが仏リーグアンのレンヌだった。
リーグアンに通算50シーズン以上在籍するレンヌは、昨シーズンまでの10年間でひと桁順位を8度マークするなど、安定した強さを誇るチームとして知られる。しかし、今シーズンは19試合を終えて5勝2分け12敗と黒星が大きく先行し、18チーム中で16位とリーグドゥとの入れ替えプレーオフ圏内にあえいでいる。
昨年11月には地元レンヌ出身のジュリアン・ステファン監督(44)を解任。アルゼンチン出身で、チリ代表や母国アルゼンチン代表、セビージャやマルセイユなどで指揮を執った経験をもつベテランのホルヘ・サンパオリ監督(64)を招聘。チームの再建を託したものの、新体制のもとでも2勝6敗と状態は上向いていない。
古橋の登録が間に合うかもしれない、とも報じられていた25日のモナコ戦も2-3で敗れて連敗はドロ沼の「4」に伸び、自動降格圏の17位・モンペリエに勝ち点差2ポイントと肉迫された。苦境脱出へ向けて、今冬の移籍期間で3人目の補強であり、セルティックで圧倒的な数字を残した古橋へかけられる期待は大きい。
レンヌが置かれた状況を理解しているからこそ、古橋も公式HP上で「目標はリーグの順位を再び上げること」と綴った。形のうえではヨーロッパのセカンドグループ後方に位置するスコットランドから、5大リーグの一角をなすフランスへのステップアップを果たした古橋だが、レンヌでは即結果を求められる厳しい戦いが待つ。
セルティックでは、国内リーグで宿敵レンジャーズとの一騎打ちが続き、ノックアウトフェーズ進出を決めているUEFAチャンピオンズリーグの戦いも待っていた。それらをすべて捨て去り、救世主を求められるレンヌでの過酷な戦いを選んだ古橋は、ホームにストラスブールを迎える2月2日(日本時間3日)の次節から臨戦態勢に入る。