「言葉で言い表せない悲劇」米航空機事故でフィギュア世界選手権金メダリストペアが犠牲も同乗と報じられた息子の生存は確認…愛犬に奇跡的に命を助けられた選手も
米国ワシントン近郊のポトマック川に墜落した旅客機に14人以上のフィギュアスケートの関係者が搭乗していたことが明らかになった。米フィギュアスケート協会などが声明で明かしたもので、その中には、1994年の世界選手権のペアで金メダルを獲得したワジム・ナウモフさん、エフゲーニャ・シシコワさん夫妻が含まれているという。搭乗者名簿にあった夫婦の息子であるマキシム・ナウモフさんは、別の便で先に移動していて生存が確認されたが、フィギュア界にショックが広がっている。
フィギュア全米選手権の開催地発の航空機だった
フィギュアスケート界にとってショッキングな事故が起きた。29日午後9時ごろ(日本時間30日)にアメリカのワシントン近郊のロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港付近で、カンザス州ウィチタ発のアメリカン航空5342便と米軍ヘリ「ブラックホーク」が空中衝突し、両機が共にポトマック川へ墜落した。旅客機には、乗客60人と乗員4人が搭乗していたが、現地の消防局は「生存者無し」の見方を示した。NBCの報道によると、カンザス州ウィチタで20日から26日まで開催されていたフィギュアの全米選手権に出場していた16人のフィギュアの関係者が搭乗しており、ロシアのフィギュアスケート選手も多く含まれ、1994年の世界選手権ペアの金メダリストで、アルベールビル五輪、リレハンメル五輪でも入賞し、1998年以降、米国に移住してコーチとして活動をし若手の育成に尽力していたワジム・ナウモフさん、エフゲーニャ・シシコワさん夫婦が犠牲になったという。
ロシアメディア「スポーツエキスプレス」によるとソビエト時代の国内選手権の銅メダリストで、同じくコーチとして指導にあたっていたインナ・ヴォリャンスカヤさんも搭乗していたと見られる。
全米選手権の終了後に、この大会に参加していた米国やロシアの若手選手たちは、2日間、当地に留まり、ミニ合宿を張っていたという。
当初、搭乗名簿には、ナウモフさん、シシコワさん夫妻の息子で、全米選手権に出場して入賞した24歳のマキシム・ナウモフの名前もあった。
マキシムは、2013年の全米ジュニア王者、2017年の全米新人王者で、期待を寄せられているホープだが、ロシアのタス通信によるとスポーツマネージャのアリ・ザカリャン氏が、「私たちは27日にマキシムと同じフライトで帰国した」と証言。マキシムは同機には搭乗しておらず生存していたことが確認された。
また「スポーツエキスプレス」によると、ジョン・マラビラは、この飛行機のチケットを持っていたが、彼の愛犬を乗せたキャリアの持ち込みが、重量オーバーで拒否されたため、車で移動することになり、奇跡的に命拾いしたという。
マラビラはSNSに「もう感覚が麻痺していて狂いそうだ。幸いなことに私は、その飛行機に乗らなかったが、その飛行機に乗っていたスケーター、コーチ、家族を何人かを知っている。名前をあげたくはないが、その飛行機には両親を除けば14人ほどのスケーターと数人のコーチが乗っていた。なんて悲劇なんだろう」と書き込んだ。