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佐藤に臨時コーチの糸井SAがアドバイスを送る(写真・黒田史夫)
佐藤に臨時コーチの糸井SAがアドバイスを送る(写真・黒田史夫)

「去年の悔しさを持ってやり返す」阪神の佐藤輝明がクリケット&超重量ボールの“糸井SA教室”で90度広角打法に開眼?!目標に掲げた「30本&100打点」も夢ではない?

 左の強打者の本塁打量産のポイントは逆方向への打球である。本塁打王を3度獲得して殿堂入りした“ミスタータイガース”掛布雅之氏も、巨人、ヤンキースで4番を打った松井秀喜氏も、逆方向の本塁打が特徴だった。特にライトからレフトへ強い浜風の吹く甲子園では、左中間からレフトへの本塁打を増やさねば量産はできない。 
 過去4年で24本、20本、24本、16本と、まだ25本の壁を超えることができていない佐藤は「30本、100打点」を今季の目標に掲げたが、30本クリアのためには。「90度の広角打法」がカギとなる。
 佐藤が「続けていきたい」とする方向性は間違っていない。糸井氏は「ルーキーで入ってきた時、あっち(逆方向)への打球は凄いと思った。特徴は左中間のホームラン。それが出せれば甲子園でも(本塁打は)増える。(年間)30発として(逆方向の本塁打は)15本くらい?」と太鼓判を押した。
 さらに糸井氏は、佐藤との会話の中で自らの経験を交えてスランプ脱出対策の「ちょっとしたヒント」を授けたという。
「悪くなったらこうなると本人もわかっている。不調では、低め、高めのボールの見極めが悪くなる。疲れも焦りもある。そうなるってことは、(ボールとの)距離が浅くなっている。(ボールとの)距離を作るのが大事」
 佐藤の課題は好不調の波だ。昨季は開幕から4月は打率.188で、5、6月の2か月間は本塁打が1本も出なかった。8月は打率.287で6本、9月は打率.301で5本と復調したが、トータルで見ると、不調期間の長さが目立ち、2軍落ちも経験した。
 ウィークポイントは、インハイの速いボールと、ボールゾーンへ落とされる変化球の揺さぶり。調子がいいときは、そこには手を出さず、失投の半速球を見逃さない。糸井氏が言う「ボールの距離」とは、いわゆるタイミングを取る際の“間”の話。それがなくなると上体が突っ込み、ボールと体との距離が近くなる。ボールを見極めることもできなくなる。逆方向を意識できていれば、それらの悪循環も最小限に食い止めることができる。
 藤川監督の構想では、佐藤の今季の打順は3番。
「より打席が多く回ってくるので、しっかりと打たなければいけないのは感じている」
 佐藤も責任の重さを感じている。3番には、勝負を決めると共に、つなぎのスキルを求められる。その意味でも佐藤が取り組む90度広角打法は合致する。
 糸井氏も、こうサトテルへの期待を話した。
「藤川監督はもう一皮むけた佐藤に期待している。まだまだポテンシャルを出せていない。とんでもない成績を残すのを見てみたい」
 佐藤も覚悟を持って節目のプロ5年目のシーズンに向かう。
「去年の悔しさを持ってやり返すため、キャンプに取り組みたい」
 サトテルに開眼の予感だ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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