異例!「ざわつくかもしれないが惑わされるな」中日の井上監督が高橋宏斗と「開幕投手の意義を問う」緊急会談開催へ…その狙いはどこにあるのか?
中日の井上一樹監督(53)が4日、沖縄・北谷キャンプで開幕投手の最有力の高橋宏斗(22)と近日中に「開幕投手の意義を問う」異例の緊急会談を行うことを明かした。“Z世代”が感じる開幕投手の重みを確かめた上で投手コーチの意見を聞き、2月中旬までに決定するという。選手とのコミュニケーションを最重視する井上監督らしいマネージメントだ。
Z世代が開幕投手に重きを置いているか否か
沖縄を襲った珍しい寒波の影響を受けてまるで冷蔵庫のように気温の下がった「Agreスタジアム北谷」のブルペンで今季2度目の投球を始めた高橋に、井上監督が近寄り、何やら笑顔で話かけた。
「世間が開幕、開幕でざわつくかもしれないが、惑わされるな。その件については、時間を作ってゆっくり話そうぜ」
その件とは、もちろん開幕投手について。緊急会談の実施を伝達したのである。
そこで何を話し合うのか。さらに詳しく井上監督が説明する。
「みんな(マスコミ)が開幕は誰だ?と、そこに凄く重きを置いている。オレの中での重さ、投げるピッチャー陣が考える重さの温度差を一度聞いてみたい。世間話をしながらゆっくりね。ホテルの食事会場でもいいのかな、それくらいフランクに」
高橋のような“Z世代”の感覚も知りたい。コミュニケーションを重要視している井上監督らしいマネジメント術。さらに昭和、平成、令和と移り変わる中で、野球そのもののスタンダートが変化していることも察知している。
「昔から、開幕投手を軸にして(1年を)回す。“おまえが主役だ”という意味合いがあったのが開幕投手。ただ、近年どこの球団も確実にエースが投げているのか、といえばそうでもない」
中日も、昨季その前年に4勝11敗と大きく負け越した柳に初の開幕投手を任せたし、阪神も昨季は青柳が務めた。前年度の成績や内容でいえば、エースは青柳ではなく村上であり才木だった。だが、阪神の岡田前監督は、戦略的な意図とメッセージ性も込めて青柳を抜擢していた。もし中日の開幕最有力候補の高橋が、それほどそれを栄誉だと思っていなければ、戦略的な起用法も可能になる。
中日の落合博満監督は、就任1年目となる2004年の開幕投手にエースの川上憲伸ではなく、ヤクルトからFAで移籍して3年間で1勝もしていない川崎憲次郎を抜擢してファンや対戦相手だった広島の度肝を抜いた。川崎に危機感を植え付けることと、川上が前年の終盤に故障したことに対する不安が理由だったそうだが、結果的に第3戦に起用した川上がシーズンを通じて相手のエースとマッチアップしなくなり、17勝7敗で、MVP、沢村賞、最多勝など投手9冠に輝き、5年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。
「(開幕が)ホームで始まるかアウエーで始まるかもある。野球が変わり、意識も変わる中で、どれだけ(開幕投手を)重要視しているのか」と井上監督。
3月28日の開幕戦は、敵地横浜スタジアムでの横浜DeNAで、4月1日の本拠地開幕は、リーグ連覇を狙う巨人戦。極めて薄いが、高橋をその巨人戦にもってくる可能性もゼロではない。