![中日の井上監督の超ポジティブ志向がドラゴンズをどう変える?(写真・黒田史夫)](https://d3d3uiz760e42m.cloudfront.net/wp-content/uploads/2025/02/DSCF2346-1200x800.jpg)
【独占】中日の井上監督は“立浪野球”の何をどう変えようとしているのか…「負の遺産とは言わないが『認められない』とあきらめた選手がいるのかもしれない」
井上監督は、開幕前恒例の順位予想の話を持ち出した。おそらく最下位予想が多いだろう。
「開幕前になると、野球の記者の方や解説陣が順位予想をされますね。では、去年から、ドラゴンズの戦力アップがどれくらいできたの?というところですね。凄い助っ人を取りました。FAであの選手を取りました、ということはないわけですよ。セ・リーグの6球団を考えたとき、どこの球団も戦力をアップさせました。でも戦力って何ですか?僕は、テンションとチームの束(たば)感、一体感で、チームの戦力は上がると信じているんです」
FA補強、トレードはなかった。新外国人として内外野ができるジェイソン・ボスラー、先発左腕のカイル・マラー、ブルペン強化のためジュニオル・マルテも獲得した。いずれも推定年俸1億円クラスの中堅レベル。ドラフト1位で4球団競合の末、金丸夢斗は引き当てたが、最下位脱出のために大補強をしたというオフではなかった。逆にライデル・マルティネスという絶対守護神がライバルの巨人へと流出した。
井上監督は、こう続ける。
「例えばヤクルトには村上(宗隆)がいる、巨人には岡本(和真)がいて、戸郷(翔征)がいる、横浜DeNAには、牧(秀悟)、オースティンがいる。こちらからすれば『ええなあ』と思いますよ(笑)。そこに立ち向かうためにどうすればいいか。細川、石川(昂弥)がもうワンランク、2分打率を上げてくれ、もう5本、本塁打を打ってくれ、それを一人ひとりやっていくと対等に戦える。そこを信じないと、選手を信じないと使えない。選手は小さくなって欲しくない。打者なら“ブリブリ”いって三振してこい、投手なら打たれてもいいので全力で投げてこい、とモチベーションを上げることで戦力が上がることに期待しているんです」
――中日だけに限らないが、若い選手は各自がYouTubeやトラックマンデータなどを駆使して研究、勉強をしています。
「現代の野球は、YouTube、トラックマン、ホークアイのデータを使い、こうなっている、ああなっている、スピン量はどうだ、スイングスピードはどうだと。それは理解しているし大事。でも、僕はどちらかといえばアナログ。それで改良されて、ぐっと成績が上がってくれればOKだし、それぞれ勉強して下さいと。ただ、そこには勝てない部分ってあるでしょう。僕は気合と『根性じゃい!』という監督で育ってきた人間。(気持ちとデータの)いいとこ取りをしたい」
ーー野球も変わりますか?
「二塁から三塁へ走者を進めるためにどうすればいいかにこだわりますよ。2、3点を取りにいって0点に終わったことも目立ちました。欲張らずにまず1点を取る意識。それが先決だと思っています」
戦力は厳しい。しかし何かを起こしそうな予感はある。
(次回へ続く)
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)