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  • 【独占】中日の井上監督が「一度は考えた」元阪神監督・矢野氏の中日ヘッド招聘プランが消滅した理由とは…「タイガースから見たドラゴンズベンチの雰囲気は重たかった」
中日の井上監督は“盟友”矢野監督に誘われ、3年間ライバルチーム阪神でヘッド、打撃コーチを務めた
中日の井上監督は“盟友”矢野監督に誘われ、3年間ライバルチーム阪神でヘッド、打撃コーチを務めた

【独占】中日の井上監督が「一度は考えた」元阪神監督・矢野氏の中日ヘッド招聘プランが消滅した理由とは…「タイガースから見たドラゴンズベンチの雰囲気は重たかった」

 これも中日以外のユニホームを着た経験が生きているもの。それでもライバルチームである阪神のコーチを務めることに葛藤はなかったのだろうか。
ーーライバルの阪神のユニホームを着る際に、もうドラゴンズとは、“お別れ”だとの覚悟もありましたか?
「そこはないんです。でも、これっぽっちも他のチームのユニホームを着るとは思っていなかった。引退して、ドラゴンズのコーチをして、若くして2軍監督までやらせてもらった。ドラゴンズに育ててもらったのに阪神に行く。愛知県に暮らして、ドラゴンズや、この地域のことをわかっていますが、内弁慶。このエリアしか知らない自分がいたんです。チャンスをくれたものに飛び込まない手はない。外へ行くチャンスをみすみす逃さず、野球界全体に視野を広げようと考えを変えましたね。結果的に行ってよかったと思っています。球団によって、こんなにもいろんなものが違うのかとわかった。阪神は特別ですからね」
 阪神のコーチ時代には、常に中日よりも上の順位にいた。
 2020年は阪神が2位で、中日は3位、2021年は阪神が2位で、中日は5位。この2年間は、与田剛氏が監督だった。監督が与田氏から立浪氏に代わった2022年は、阪神が3位で、中日が最下位。両者の対戦成績も、14勝10敗、14勝9敗(2分)、13勝12敗と、いずれも阪神が中日に勝ち越している。
 阪神のベンチから見た中日はどうだったのか。
「特別な苦手意識も得意意識もなかったですね。ただ中日のピッチャーはそこそこ投げられる。柳裕也や大野雄大あたりに、ずるずると抑えられていました。そこは厄介だった。でも打線に怖さはない、当時はビシエドが4番だったのかな。ランナーを貯めてどかんがあるのかもという不安が、ヤクルトや巨人に比べるとなかった」
――その経験をどう生かしますか。
「それとベンチの雰囲気が重い感じがした。与田さん、立浪さんの2人は、僕の兄貴分で、性格はわかっていました。2人共にイケイケのタイプじゃない、僕もイケイケでは、やれないのかもしないが、重い雰囲気にはしたくない。空気感の清浄機にはなれるのかなと思っている」
 井上監督が、キャンプでも、選手、コーチと積極的にコミュニケーションを取り「明るく激しい」ムードに一変させようと心掛けているのは、その第一歩だろう。
「僕は、テンションとチームの束(たば)感、一体感で、チームの戦力は上がると信じているんです」との信念がある。
 一方の阪神も、監督が岡田彰布氏(現オーナー付顧問)から藤川球児監督に代わった。藤川監督とは、コーチと選手の関係だった。その性格も熟知している。戦力も、井上監督が、阪神を退団してから、新しくチームに入って主力となったのは、投手、野手を通じて大竹耕太郎くらい。監督、コーチから、選手まで、その実力も性格もすべてを知りつくしている井上監督が、対阪神にどんな戦いを演じるのか。阪神とは23日に北谷で“前哨戦”となるオープン戦が組まれている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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