
キューバ交渉舞台裏の新常識とウソ…巨人はライデル・マルティネスの獲得に60億円以上をかけて直接交渉で口説き落としていた
そして、キューバ選手の交渉での、さらなる新事実も明らかになった。
キューバ政府へ支払う譲渡金の問題だ。これまでは、球団と選手の間で合意した年俸から、キューバ政府、野球連盟が10%とも、20%とも言われる譲渡金を差し引いていた。だが、これに関しても選手の側からキューバ政府への不満が爆発した。このスタイルを放置しておけば、大量亡命の引き金にもなりかねないため、キューバ政府、野球連盟は、NPBの各球団に、本人と合意した年俸とは別に年俸総額の10%から20%の譲渡金をキューバに支払う新ルールを通達した。メジャーとNPBが結んでいるポスティングシステムに類似している。
今回、マルティネスの年俸総額が、ロメロ記者の報じた通りに、約49億4000万円だったとしても、そこにプラスして、譲渡金のパーセンテージが20%だと想定すれば、さらに9億8800万円ほどをキューバ政府に支払わねばならない。つまり総額で60億円以上の資金を投下したというわけだ。
マルティネスは、昨季中日で60試合に登板し、防御率1.09、2勝3敗7ホールド、43セーブの成績を残してセーブ王のタイトルを獲得した。それだけの資金を投入する価値のある絶対守護神である。しかも、期待に応えるべく、2月1日からキャンプに合流した。
マルティネス、大勢、バルドナード、ケラー、高梨、船迫と、揃ったブルペン陣は、間違いなくリーグナンバーワンだろう。5回までリードしていれば、逃げ切りが可能。阿部監督の野球も変わってくる。
ソフトバンクからFAで獲得した甲斐拓也とは、推定5年総額15億円で合意し、新外国人外野手のトレイ・キャベッジの年俸も推定2億円。リーグ連覇、そしてクライマックスシリーズで横浜DeNAに敗れ、出場できなかった日本シリーズでの日本一獲得に向けて、なにふりかまわず、約80億円に迫る大型補強を仕掛けた阿部巨人は絶対に負けられないシーズンを迎えることになる。