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巨漢トレーナーの"圧"に対抗するトレーニングをする那須川天心(写真・山口裕朗)
巨漢トレーナーの"圧"に対抗するトレーニングをする那須川天心(写真・山口裕朗)

那須川天心が「すべてを失うし全部をもっていける勝負」の前世界王者モロニー戦の”必勝”シミュレーションを披露…WBO王者の武居由樹とのビッグマッチ実現への最終テスト

 プロボクシングのWBOアジアパシフィック・バンタム級王者の那須川天心(26、帝拳)が12日、東京の帝拳ジムで、12日後に迫った前WBO世界同級王者のジェイソン・モロニー(34、豪州)との世界前哨戦(24日・有明アリーナ)に向けた練習を公開した。メキシコのWBC世界同級7位との3ラウンドのスパーリングで見せたのが、対モロニーのシミュレーション。今回テーマにした「前の手(右)」の攻撃とサウスポーの特性を生かした距離感で確実にラウンドを支配できることをアピールした。WBO世界同級王者の武居由樹(28、大橋)とのビッグマッチ実現のために絶対に負けられない戦いとなる。

 日本ボクシング界の未来を背負う覚悟

 モロニー陣営がまだ来日していないこともあってか、天心は、3ラウンドのガチスパーで、惜しげもなく手の内をさらけだした。WBC世界同級7位で、WBCシルバー王者でもあるアレハンドロ・ジャイル・ゴンサレス(25、メキシコ)を相手に、まず1ラウンド目は、今回のテーマにあげている「前の手(右手)」だけでコントロールした。しっかりとステップで距離を取って、ジャブで主導権を握り、タイミングのいいカウンターの右フックが3発的中した。
「あそこの距離で嫌だなと相手にずっと思わせる。ジャブは一個一個にパワーが乗っている。石を投げるように(相手のプレスを)止めるだけじゃなく、パワーでダメージを与える力強い動きができている。前の手で、相手にアクションさせることができている」とは、天心の解説。
 2ラウンドに入ると、そこに左のパンチを絡める。ワンツーにボディ、アッパー。とにかく前後に動くステップが抜群で、天心の距離をキープし続けた。
「中間距離での戦いになる。そこを制した方が距離をとれる。皆さんは、遠距離か、近い距離かの二択で見ているが、その間が大切。そこをどう崩すか。相当頭を使う試合になる。僕もIQが高いので負けるつもりはない」
 頭脳戦を想定している通りの動きで3ラウンドにはダブル、トリプルのコンビネーションを交えながら、小さくサイドに動いてのボディ打ちまで披露。セコンドからは「ナイス!」の声が何度も飛び交った。
 その後、粟生隆寛トレーナーと、通常のミット打ちを3ラウンド行ったのちに、本田明彦会長の指示で、1m88があり、現役時代はミドル級、現体重は、ゆうにライトヘビー級はありそうなカルロス・リナレス・トレーナーが、ドラム型のプロテクターをつけてプレッシャーをかけ続けて、そこに天心が対処するというパターンを変えた激しいミット打ちも2ラウンド消化した。
「試合では何が起こるかわからない。あんなでかい人が、でかいプロテクターをつけて前にくるので圧がある。それに対して下がりながら攻撃をする。(リングに)根をはる意識でトレーニングの最後にやるんですが、まさか公開練習でやるとは思っていなかった」
 天心がサウスポーの利点を生かした距離を支配するボクシングでポイントを重ねると、後半にモロニーは必ず前に出てくる。その場合に備えてのシミュレーション。「打ち合いになっても距離をとっても、出て来ても、来なくとも何がきても大丈夫なように用意をした。これまでは相手のアクションを待ってリアクションするタイプだったが、今回は自分からもプレッシャーをかけられるし、すべてを兼ね備えた」と、天心は、万能型への変貌を自画自賛した。

 

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