![セレッソがベテラン香川真司の1ゴール1アシストの活躍で大阪ダービーを制す(写真・スポニチ/アフロ)](https://d3d3uiz760e42m.cloudfront.net/wp-content/uploads/2025/02/aflo_281706666-1200x1263.jpg)
35歳のセレッソ香川真司がJ開幕戦で「みんなが疑いの目を向けてくる」限界説を吹き飛ばす…1ゴール1アシストの大活躍で“大阪ダービー”快勝に貢献できた理由とは?
2025シーズンのJ1リーグが14日の大阪ダービーで開幕し、セレッソ大阪が5-2でガンバ大阪に圧勝した。敵地パナソニックスタジアム吹田に乗り込んだセレッソは、開始7分に元日本代表MF香川真司(35)のパスをMF北野颯太(20)が流し込んで先制。2-1で迎えた後半7分には、香川が自身通算7試合目のダービーで初ゴールを決めて突き放した。昨シーズンはわずか10試合の出場に終わったベテランが、1ゴール1アシストの大活躍で主役を演じ、ささやかれていた限界説を吹き飛ばした。
「時間が1秒か2秒止まっている感じがした」
時間が止まって見えた。後半7分。香川だけが異なる感覚のなかにいた。
自陣の中央から左サイドへ展開し、縦パスに抜け出したFW阪田澪哉(20)がタッチライン際からカットイン。右足から放たれた強烈なシュートを、ガンバの最終ラインを束ねるDF中谷進之介(28)が必死にはね返した直後だった。
クリアされたボールは低く速い弾道で、ガンバのペナルティーエリア内のほぼ中央にいた香川の正面へ飛んできた。しかし、予期せぬ展開を前にしても、かつて日本代表で「10番」を背負ったベテランは慌てなかった。とっさに右足の太もも部分を駆使した、正確かつ柔らかいトラップからボールを目の前に弾ませた。
「うまく飛んできたので、絶対に決めなきゃいけないと思った」
ゴールを意識した瞬間に、不思議な感覚が頭をもたげてきた。
「あまりにもフリーすぎたからか、時間が1秒か2秒くらい止まっている感じがして。キーパーの逆を突きましたけど、結果として入ってよかったです」
右足を振り抜こうとした瞬間に、ガンバのGK一森純(33)とDF福岡将太(29)が向かって右へ飛ぶ姿が確認できた。視界の左側からは体勢を立て直した中谷も、ブロックしようと飛び込んできていた。ただ、香川とガンバの3人は時間軸が異なる。余裕をもって、3人とは逆方向となる左隅へ、リードを2点に広げる一撃を突き刺せた。
昨年3月9日の東京ヴェルディとのJ1リーグ第3節以来、公式戦で342日ぶりに決めたゴール。さらに自身が出場した大阪ダービーで、通算7試合目にして初めてゴールネットを揺らした一撃は、香川にとって大きな意義をもっていた。
昨シーズンは結局、1ゴールだけに終わった。何よりもリーグ戦の出場が10試合、プレータイムにいたってはわずか571分にとどまった。怪我を繰り返し、最後の10試合は左ひじを脱臼した影響でベンチにも入れずにシーズンを終えた。
それでも、35歳という年齢を踏まえた、心ない声が香川の耳に入ってくる。香川は終わった。もう限界だろう。ヨーロッパから愛着深い古巣セレッソへ復帰して今シーズンで3年目。香川は不退転の決意を胸中に秘めて開幕を迎えた。
「今シーズンの自分がどれだけやれるのか。個人的には大きな自信があったけど、昨シーズンはかなり苦しんだところがあったなかで、みんながそういった疑いの目を自分へ向けてくる。それは結果やパフォーマンスではねのけていくしかないと思っていたので、その意味でもいいスタートを切れたのは本当によかった」