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セレッソがベテラン香川真司の1ゴール1アシストの活躍で大阪ダービーを制す(写真・スポニチ/アフロ)
セレッソがベテラン香川真司の1ゴール1アシストの活躍で大阪ダービーを制す(写真・スポニチ/アフロ)

35歳のセレッソ香川真司がJ開幕戦で「みんなが疑いの目を向けてくる」限界説を吹き飛ばす…1ゴール1アシストの大活躍で“大阪ダービー”快勝に貢献できた理由とは?

 当時の感覚は、いまも香川の身体に脈打っている。
「先制点もゴール前へ入っていくスプリントといったところを、自分で意識していたなかで目の前にボールが転がってきた。やはりあそこに入っていかなきゃ何も生まれない、と思いながらも、自分自身、あの場所で結果を残してきた自負がある。その意味でも今後もどれだけ顔を出せるか、存在感を見せられるかがキーになってくる」
 金曜日のナイトゲームとして、開幕節のなかで1試合だけ行われた大阪ダービーはチケットが前売り段階で完売。パナソニックスタジアム吹田を埋めた3万4860人の視線は、キックオフ前はトップ下でいきなり先発を射止めたガンバの黄金ルーキー、18歳の名和田我空(鹿児島・神村学園在学中)に集まった。
 しかし、敵地で大量5ゴールを奪い、圧勝した試合経過とともに、主役の座はいつしかセレッソ伝統のエースナンバー「8」を背負う香川へと移っていた。名和田はガンバで最多の4本のシュートを前半だけで放ったものの、2-4とされた直後の後半20分に、最初の交代カードが切られたなかでベンチへ下がっている。
それでも、後半アディショナルタイムまでプレーした香川は言う。
「いやいや、そんなことはないですよ。ひとつのミスで、ひとつの得点で流れが大きく変わるスポーツだし、どちらに転んでもおかしくない試合だった。だからこそ自分たちは足元を見つめて、もっともっと上を目指す強いメンタリティーをもたなきゃいけない。そこは僕もみんなに要求しながら、次へ向けて準備していきたい」
 新体制下で臨んだキャンプで、実は香川の序列は決して高くなかった。しかし、ボランチとして濃密な経験を駆使して攻守のバランスを取り、さらに攻撃面で新指揮官の注文にしっかりと応えてきた過程で信頼を勝ち取り、開幕戦の先発を射止め、宿敵撃破に大きく貢献した。来月には36歳になる香川が、かつてヨーロッパや日本代表で放ったものとは大きく異なる、いぶし銀の輝きを身にまとおうとしている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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