• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 「金丸夢斗は開幕ローテーの計算に入れていない」中日の井上監督が評判の黄金ルーキーを開幕1軍構想から外した理由とは?
中日のドラフト1位の金丸夢斗を井上監督は開幕1軍構想から外した(写真・黒田史夫)
中日のドラフト1位の金丸夢斗を井上監督は開幕1軍構想から外した(写真・黒田史夫)

「金丸夢斗は開幕ローテーの計算に入れていない」中日の井上監督が評判の黄金ルーキーを開幕1軍構想から外した理由とは?

 

 ただ昨季24試合に先発し、5勝11敗と大きく負け越したものの、年間を通じてローテーを守り、144イニング3分の1を投げて、防御率3.12の小笠原慎之介がポスティングによりナショナルズに移籍したため、その穴を誰かで埋めねばならない。井上監督の気持ちの中には葛藤がある。だからこそ発想の転換で金丸を開幕ローテーの計算に入れなかった。
「最初から開幕ローテーに金丸を計算に入れていると、無理だったときのショックがでかいじゃないですか。いないものと考えていて、『ああ、そうか、そうか、ルーキーの金丸がおったやん』となれば、嬉しいじゃないですか。だから今は開幕に金丸がいないものという想定で考えています。小笠原の抜けた穴をどうするのか?と皆さん言いますが、他の選手にとってはチャンスなんです。そこはいい競争ができています」
 その大前提としてあるのがローテーの充実だ。
 まだ正式発表はされていないが、開幕投手の最有力候補の高橋宏斗を軸に、昨季わずか13試合の先発で4勝5敗の不甲斐ない成績からの再起を目指す柳裕也、ベテランの涌井秀章、11日の横浜DeNAとの練習試合で先陣を切った“育成の星”で昨季夏場から1軍昇格して8試合で2勝4敗と頭角を現した松木平優太、3年目のウンベルト・メヒア、評判のいい新外国人のカイル・マラーらがローテー候補。さらに2軍キャンプスタート組からは、左腕の松葉貴大、梅津晃大の2人。そしてベテラン左腕の大野雄大、2年前のドラフト1位の仲地礼亜も、先発争いに参戦していて候補だけで10人もいる。
 落合2軍監督も「金丸、金丸とならないような先発陣を作ることが重要」と説く。
「井上監督が考えているように先発陣をいかに充実させるかがポイントだと思う。『いつ金丸が出てくるのか』という声がチームの内外から強くならないようにね。昨年規定投球回数を投げた小笠原の穴を何も一人で埋める必要はないと思う。2軍キャンプスタートとなったメンバーからも、その候補を1軍へ送り出さないといけない。梅津あたりはローテーに食い込んでいけると思う」
 ここからオープン戦の中で繰り広げされる激しい先発候補争いを勝ち抜いた6人が順調なスタートを切り、黄金ルーキーの金丸が、早ければGW、遅くとも交流戦あたりから1軍に合流してチームに勢いをつけてくれる展開が理想だろう。
 昨季のチーム防御率2.99は、リーグ4位。契約の切れた絶対守護神のライデル・マルティネスが巨人に移籍し、小笠原が抜け、福谷浩司もFAで日ハムへ移籍した。安定していた投手陣が、揺らぎはじめてはいるが、最下位脱出からの土台になるのは、中日の場合は、やはり投手力である。
 井上監督が言う。
「我々はチャレンジャー。チームの長がある僕が選手を信じないでどうするんだ?ってことですよ」
 新監督の手腕に注目が集まる。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

関連記事一覧