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歴史的1勝を刻んだファジアーノ岡山。木村太哉(左)が2点目を決めて柳貴博(右)の祝福を受ける。JFE晴れの国スタジアムも大興奮(写真:日刊スポーツ/アフロ)
歴史的1勝を刻んだファジアーノ岡山。木村太哉(左)が2点目を決めて柳貴博(右)の祝福を受ける。JFE晴れの国スタジアムも大興奮(写真:日刊スポーツ/アフロ)

なぜファジアーノ岡山は歴史的1勝を開幕戦で刻めたのか…「貫いたチャレンジャー精神」Jの“台風の目”となる可能性は?

 J1リーグの開幕節7試合が15日に行われ、クラブ史上で初めてJ1に臨むファジアーノ岡山が2-0で京都サンガF.C.を破り、歴史的な初勝利をあげた。チケットが完売したホームのJFE晴れの国スタジアムで初陣を迎えた岡山は、前半23分に左CKをDF田上大地(31)が押し込んで先制。同38分にはFW木村太哉(26)が追加点を決め、守ってはチーム一丸で京都を零封した。史上5チーム目の「開幕戦で勝利したJ1初昇格クラブ」となった岡山は、今シーズンの台風の目になれるのか。

「守りに入るのではなく前へ出て決めたゴールが勝利に直結」

 本拠地に響きわたる手拍子が、歴史的な瞬間を手繰り寄せる。
 京都のFW原大智(25)が放った強烈なシュートを、ドイツ出身の守護神スベンド・ブローダーセン(27)が右腕一本でセーブ。こぼれ球が右タッチライン際まで弾んだ直後に、すでに9分台に突入していた後半アディショナルタイムの終了と、岡山の勝利を告げる主審のホイッスルが冬晴れの空に鳴り響いた。
 岡山を率いて4年目。昨シーズンのJ2リーグ5位からJ1昇格プレーオフを勝ちあがり、悲願のJ1の舞台へ導いた木山隆之監督(52)がチームへ満点を与えた。
「もちろん1試合勝っただけで喜んでいるようじゃいけないし、この厳しいリーグで生き残っていくためにはもっと成長しなければいけない。それらを承知の上で、でも今日に関しては選手たちが本当によくやったと思っている」
 京都が立て続けに7本のCKを獲得しながら、岡山のゴールをこじ開けられずに迎えた前半23分。待ち焦がれた瞬間が訪れた。
 岡山が獲得した最初のCKを、左からレフティーのMF加藤聖(23)が放つ。ゴールから遠ざかっていく軌道に、ゴール正面でフリーになった田上が反応。左足のダイレクトボレーで京都のゴールネットを揺らした。
 これまでV・ファーレン長崎、柏レイソル、アルビレックス新潟、そして岡山でJ1への昇格を経験。さらに長崎では2018シーズンの開幕戦で、クラブのJ1初ゴールを決めている田上は、約7年ぶりに決めたJ1でのゴールに「今日のような歴史的な日に……自分はもっている、と感じました」と笑顔を輝かせた。
「あのゴールでチームの気持ち的にすごく楽になったし、みんなを落ち着かせられた。J1での初戦というのは、今日しかない。歴史的な日を勝利で飾れてよかった」
 実は田上がシュートを放った刹那に、京都ゴール前でつぶされながらも必死に右足を伸ばした木村もボールに触れていた。田上も「半分はタカヤ(木村)のゴールかも」と苦笑したなかで、15分後にはJ1デビュー戦となったその木村も続いた。
 敵陣の左サイドで細かいパスをつないだ直後。今シーズンに韓国Kリーグ王者の蔚山HDから加入した、元日本代表のFW江坂任(32)がワンタッチパスで右サイドへ大きく展開。走り込んできたMF柳貴博(27)が頭で折り返したゴール中央へ、以心伝心で詰めてきた木村が右足のスライディングボレーを突き刺した。
 木山監督も「一番大きかった。守りに入るのではなく、自分たちから前へ出ていって決めたゴールが勝利に直結した」と称賛した一撃。甲南大から加入して5年目。クラブ生え抜きの木村は、自らにこう言い聞かせながらピッチで戦い続けている。
「パスをつなぐとか、技術が求められる場面では他にうまい選手たちがいる。僕に求められるのはハードワークであり、それを他の選手よりもうまく表現できる自信もある。その意味で、守備でも攻撃でも相手を混乱させられるようなプレーができればとずっと思ってきたし、それこそが岡山のよさだと思っている」

 

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