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西日本ボクシング協会の会長選に出馬した亀田興毅氏はトップと同数票を得たがクジ引きで敗れた
西日本ボクシング協会の会長選に出馬した亀田興毅氏はトップと同数票を得たがクジ引きで敗れた

賛否呼んだ「くじ引き」決着の真相…西日本ボクシング協会長選に敗れた亀田興毅氏を直撃取材…「なぜ2期6年の実績がある山下正人氏と同数の支持を集めたと思いますか?」

 西日本ボクシング協会の会長選の波紋が広まっている。初出馬した元3階級制覇王者で現在「3150FIGHT」のファウンダー、亀田ジム会長である亀田興毅氏(38)が2期6年会長を務めていた真正ジム会長の山下正人氏(62)と同数票を獲得するという大善戦を演じ、史上初のくじ引きで山下氏の3選が決定したからだ。亀田氏が27ものジムの賛成を得たことに加えてくじ引きで決めるという決定方法に賛否の声も飛び交うことになった。亀田氏の何が賛同を得たのか。そしてくじ引きルールの理由は? 周辺を取材すると共に亀田氏自身を直撃インタビューした。

 「投票してくれた会長さん方に申し訳ない」

 その選挙結果はボクシング界に少なからず衝撃を与えた。2月9日に兵庫の温泉地、有馬のホテルで開催された会長選挙は、まず前会長の山下氏、女子ボクシング界に多大な貢献をしてきたフュチュールジム会長の平山靖氏(64)、亀田氏の3人の候補者が、それぞれ立候補理由を演説。その後、無記名で投票が行われた。公平を期すために演説の順番も、クジで決め、亀田氏が最後に訴えた。
 西日本ボクシング協会に加盟しているジムは69あるが、今回の有効投票数は64。ホワイトボードに「正」の字を書いていく昔風の方式で、投票結果が明らかになっていったそうだが、山下氏と、初出馬の亀田氏が、27票の同数で並び、平山氏が14票で勝負がつかなかったのである。
 協会の規約には同数だった場合はクジ引きで決めると明示されており、じゃんけんで、まずクジを引く順番を決め、事前に準備されていたクジを亀田氏が先に引いたが、そこに記されていたのは「×」だった。
 選挙前には様々な情報が乱れ飛んでいた。
「山下が過半数を抑えて亀田と平山が残りの過半数を分ける」
「亀田が有利らしい」
「ほぼ互角。当日次第でどうなるかわからない」
 それだけにこの選挙結果の受け止めも様々だった。
 3選を決めた山下氏は「6年間やった年季の分だけ支持してもらえたのかな。この結果を謙虚に受け止めたい。もう終わった限りはノーサイド。亀田会長、平山会長と共に協会をより良いものにするように努力していきたい」と、くじ引きの勝利に胸を撫でおろしながらも、どこか複雑な反応だった。
 一方の亀田氏は「予想通りではありませんよ。まさか同数になるとは…素直に嬉しいし、僕に期待をしてくれた人に申し訳なく思います。僕の力不足です」とコメントした。
 今回の会長選が波紋を呼んだ理由は2つあった。
 ひとつ目は、なぜ亀田氏が、2期6年の実績がある山下氏と同数の27票もの支持を集めたのかという点。あるジムの会長は「もしくじ引きでなく決戦投票になっていれば平山氏に入れた14人の半数以上が亀田氏を支持していた可能性もある」とまで推測した。
 亀田氏は事前にマニフェストを作って地道に各ジムを訪問した。
 亀田氏曰く「明らかに他の2人の支持がわかっていたジムを除くほとんどのジム」を訪問した。筆者が取材した複数のジムにも亀田氏は来ていた。
 あるジムの会長は、「3階級制覇王者でプロモーターとしても派手に活動していた亀田が腰を低くして謙虚に頭を下げた。具体的にマニフェストも示しそれを公約としてジムを回った。その姿勢を評価した会長さんが多かったんじゃないか」と27票を集めた理由を分析した。

 

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