
「正直悩ましく非常にやりにくい状況だった」J1町田が新戦力DF2人の負傷退場で黒星発進…非常事態で開幕ダッシュに暗雲か
J1リーグ開幕節の残り2試合が16日に行われ、昨シーズン3位のFC町田ゼルビアがサンフレッチェ広島に1-2の逆転負けを喫した。ホームの町田GIONスタジアムに優勝候補の広島を迎えた町田は、前半20分に岡村大八(28)、後半8分には菊池流帆(28)とセンターバックが相次いで負傷退場。戦い方のリズムを崩した末に、後半14分、32分に連続失点を許した。J1初挑戦だった昨シーズンに堅守をベースに開幕ダッシュに成功し、終盤まで優勝争いを演じた町田が、いきなり非常事態に直面した。
前半はパーフェクトだったが…
パワーアップしたはずの町田の堅守に、いきなり綻びが生じた。
昨シーズンのリーグ戦で唯一、2戦2敗を喫した苦手の広島を本拠地に迎えた開幕戦。借りを返すにはこれ以上の舞台はない。キックオフ直前に組んだ円陣で、引き続きキャプテンを担う元日本代表のDF昌子源(32)が檄を飛ばした。
「今年はやってやろう。今日は勝つぞ」
その昌子が3バックの左に入り、真ん中にヴィッセル神戸から加入した菊池が、右には北海道コンサドーレ札幌から加入した岡村がそれぞれ配置された。キャンプから取り組んできた新布陣が、開始20分で変更を余儀なくされた。
接触プレーで左足を痛めた岡村が、DFドレシェヴィッチ(28)との交代を告げられた。それでも6分後にFW相馬勇紀(27)が、得意のドリブルで相手選手3人を一気に抜き去り、そのままゴールを決める離れ業で先制する。1点リードで折り返した前半を、町田の黒田剛監督(54)も「パーフェクトに近い内容だった」と振り返った。
しかし、後半開始早々の8分に今度は菊池が右足を痛めてしまう。プレー続行が不可能となった菊池に代えて、黒田監督は左ウイングバックの林幸多郎(24)を投入。それまで同ポジションだった中山雄太(28)を3バックの左に、さらに昌子を同じく真ん中に配置転換したが、同14分に一瞬の隙を突かれて同点とされる。
ここから先の采配で、黒田監督は頭を悩ませ続けた。
「怪我で交代枠を使わざるを得なくなった状況が試合を難しくした。残り一回の交代をどのように使うか。正直悩ましく、非常にやりにくい状況になってしまった」
指揮官が弾き出した答えは後半32分の3人同時交代だった。
体力的にフレッシュな3人をボランチと前線に投入し、前からかけるプレッシャーをさらに強める青写真はしかし、直後に喫した失点とともに暗転する。前半は中山が封じていた広島の右ウイングバック、中野就斗(24)を起点にチャンスを作られ、最後は明治大卒のルーキー、FW中村草太(22)のJ1初ゴールで勝ち越された。
昨シーズンは一度だけだった逆転負けを、開幕戦でいきなり喫した。試合後に臨んだ公式会見。黒田監督は戦い方のリズムが狂ったと敗因をあげた。
「前半は菊池流帆や岡村大八の位置でしっかりと相手ボールを弾き返し、セカンドボールを拾ってマイボールにできていた。怪我による選手交代でそれができなくなった差が、少しずつ影響したという印象を受けている」