
“魔改造中”の巨人マー君は本当に復活できるのか…初のライブBPで内野ゴロ量産の熟練の投球術を披露も全盛期に程遠い“へなちょこ”ストレートに疑問
楽天から自由契約で巨人に移籍した田中将大(36)が17日、沖縄・那覇キャンプで移籍後初となるライプBPに登板し、同級生の坂本勇人(36)ら打者8人に対して、被安打2、1奪三振、1四球の熟練の投球術を披露した。だが、ストレートは全盛期には程遠いスピードだった。マー君は今季残り3勝に迫った日米通算200勝をクリアして復活を遂げることができるのだろうか。
坂本勇人との同級生対決に那覇のスタジアムが湧く
背番号「11」を背負ったマー君が、太陽がギラギラと照り付けるセルラースタジアム那覇のマウンドに小走りで上がるとネット裏を埋めたファンから拍手が起きた。カウント1-1からの実戦方式のライブBP(シート打撃)。先頭の吉川尚輝への初球にストレートを投じたが、一塁側へのファウル。吉川が思ったよりもボールが来ていなかったため、タイミングが合わなかったのだ。追い込んでからはカーブを捉えられ、その打球は、田中のグラブを弾きセンター前へ抜けていった。
続く打席に兵庫・伊丹の少年野球時代にバッテリーを組んでいた同級生の坂本が入ると、スタンドからの拍手が一層大きくなった。
坂本には、初球の外角高めへのストレートに手を出させてショートゴロ。各社の報道によると、マー君も坂本も「まだお互いに調整段階」であることを強調していたという。
3人目の丸佳浩もカーブを見せてからのストレートで二ゴロに打ち取った。
続くヘルナンデスは、三塁前へのボテボテのゴロ。あまりにも当たりが悪くて不運な内野安打となったが、完全に打ち取っていた。
マー君は、実戦初戦でもう“ガチモード”だった。2巡目となる吉川との対戦では追い込んでからバッテリーを組んだ岸田行倫のサインに2度クビを振ったのだ。選択したのは、スプリットと、共に田中が組み立ての軸とするスライダー。吉川のバットが空を切ると、杉内俊哉投手コーチら首脳陣らが拍手を送った。
坂本との2度目の対戦は四球だったが、丸は落ちるボールでレフトフライに仕留めた。外野まで打球が飛んだのは、この1本だけ。最後のヘルナンデスには、マー君の生命線である外角低めのストレートでショートゴロに打ち取った。
田中は、日米通算197勝にふさわしい熟練の投球術を駆使して、昨季リーグ優勝した巨人が誇るレギュラークラスの4人に内野ゴロを量産させた。しかし、球速表示は出ていなかったが、140キロの前半が出ていれば、御の字のようなストレートは全盛期には程遠い“へなちょこ”だった。空振りはとれず打ち取った内野ゴロも押し込んだわけではなかった。
現役時代に阪神、ダイエー( ソフトバンク)、ヤクルトで先発、抑えで活躍し、パ・リーグの野球に詳しい評論家の池田親興氏は楽天時代の田中をずっとチェックしてきた。
「まだ全力では投げていない。まだ実戦の初戦。ストレートの球速は、もっと出てくるように感じた。2年前に手術した36歳のベテランが、戸郷や山崎と同じペースでこの時期に実戦登板しただけでも仕上がりを評価すべきでしょう。配球は、真剣に組み立てていたが、新しいマー君を模索する中で、久保康生巡回コーチと取り組んでいる縦振りの体の使い方をチェックしていたと思う。ステップ幅が狭くなり、ここ数年、徐々に下がっていたリリースポイントも高くなっていたように見えた。ゴロが多かったのも、バットとのコンタクトにボールの角度が影響したのだろう」