
那須川天心の元世界王者モロニーへの挑戦は本当に「まだ早すぎる」のか…陣営が公開練習で「誰が言ってんだ?」と嚙みつき“ザワザワ”…裏にある“サウスポー苦手”の致命的弱点
WBOアジアパシフィックバンタム級王者の那須川天心(26、帝拳)と24日に有明アリーナでノンタイトル10回戦で対戦する前WBO世界同級王者のジェーソン・モロニー(34、豪州)が18日、都内の帝拳ジムで練習を公開。代表質問にトレーナーのアンジェロ・ハイダー氏が噛みつき、一瞬、場を緊張させるシーンがあり、27勝(19KO)3敗のキャリアを誇り、スーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(31、大橋)との対戦経験もあるモロニーはプロ6戦目の天心に対して「この挑戦が早すぎたことをわからせたい」と豪語した。だが、昨年5月に王座から転落した武居由樹(28、大橋)との世界戦で露呈した“サウスポーアレルギー”は顕著。視察した元2階級制覇王者の粟生隆寛トレーナー(40)は「苦手意識は抜け辛い。武居戦のイメージが残っているならありがたい」と自信をちらつかせた。

紳士的な対応に終始していたモロニー陣営が公開練習で代表質問に嚙みついた。
「判定なら天心。KOならモロニーと言われていますが?」とのクエスチョンにモロニーは答えず、隣に座っていたトレーナーのハイダー氏が「それは誰が言ってんだ?」と横から口を挟んだ。
正確に伝えれば激怒という様子ではなかったのだが、一瞬、緊張した空気が流れ場がザワザワしたことは事実。代表質問者が、「ジャーナリストやファンの声」と説明すると、トレーナーは、続けてこうまくしたてた。
「それは日本の大会におけるジャッジが、モロニーにフェアなジャッジをしないってことか?そうメディアが言っているのは、ジャッジがフェアじゃないから判定では勝てないということなんだろう?」
ハイダートレーナーが言いたかったのは30戦のキャリアを持つ元世界王者のモロニーが、まだボクシング転向6戦目の天心に判定で負けるはずはなく、もし判定で負けるとすれば、ジャッジが不正な採点をした場合のみだ、ということ。
代表質問者がなだめにかかるとハイダートレーナーは「豪州のジャッジも言っていたが、日本のジャッジは大変フェアで選手に敬意をもった栄誉ある判定をしてくれる。彼らに敬意をもっている、フェアな判定をすることを信じている」と笑顔に戻ったが、強烈な皮肉の一発を打ち込むことを忘れていなかった。
「天心が今回対戦する相手はハードだ。ガードを上げて動かないような今までの相手とは違う。彼がどれだけ強い選手であるかを見てほしい」
ここまで天心が戦った5戦の相手のレベルに疑問符をつけ、元王者のプライドをのぞかせた。確かに超攻撃的なスタイルのボクサーはいなかったが、地域タイトルを獲得した前戦のジェルウィン・アシロ(フィリピン)は弱い相手ではなかった。
モロニーも「天心はグッドファイターだ。スピードがあり、目もいいし、優れた運動能力がある。おまけに(SNSの)フォロワーが多くて人気もある。期待を抱いているファンも多いだろう」とした上で、返り討ち宣言をした。
「天心がプロ6戦目で元世界王者と戦うのは大きなチャレンジ。それを受けた心の強さは感じるが、私は正しく戦い、正しく勝って、天心の上に立ち、この挑戦が早すぎたことをわからせたい」
そして判定かKOかの決着の仕方について「どんな方法でもいいので勝ちたい、自信がある。KOしたいが、ラウンドごとに天心を痛めつける」と続けた。