
【独占】横浜DeNA三浦監督が明かすソフトバンクとの日本シリーズの流れを変えた「緊急選手ミーティング」の真実…「何を話したなんか聞いていない」
――ケイは、レギュラーシーズンでは、防御率3.42、6勝9敗で負け越している左腕です。イライラして自滅パターンが多かったが、ポストシーズンでは別人でした。
「シーズン中から、どうセルフコントロールするかをメンタルコーチと取り組みながら、すこしずつ変わっていきました。それを大舞台で出せたのがいいピッチングにつながった要因の一つだと思います」
本拠地連敗からスタートした日本シリーズでは逆襲へのきっかけがあった。福岡入りすると、選手だけのミーティングが開かれ、筒香嘉智、桑原将志、山崎康晃、戸柱恭孝、柴田竜拓、神里和毅、宮崎敏郎ら、2017年の日本シリーズを知る面々がそれぞれの思いを語った。そこから4連勝で一気に逆転したのである。主体性が出れば集団は変わると言われている。気になったのは、その下地。なぜ自発的な選手ミーティングがここで発生したか。三浦監督は、遠藤拓哉メンタルパフォーマンスコーディネーターの存在を口にした。他球団ではあまり類を見ないポジションでベンチ入りするケースもある。
「あれは(遠藤)メンタルコーチがシーズン中もやってくれていた中で、キャプテンの牧が感じてミーティングをしてくれた。普段からメンタルコーチがやってくれていなかったら、自発的に生まれてなかったかもしれない。これも優勝の大きな要因の一つだと思います」
37歳の遠藤氏は、米国で、メンタルトレーニングの第一人者であるケン・ラビザ氏に教えを請い、2021年の東京五輪ではソフトボール女子チームのメンタルコーチとして金メダル獲得をサポートした。ラビザ氏は「大リーグのメンタルトレーニング」という著書を出しているが、その翻訳を担当した一人が遠藤氏。三浦監督は、偶然にも現役時代に「その本を読んでいた」という。
そのミーティングには「コーチも監督も入っていない」という。
「どんなことを話したかも聞かなかったです。ああいう形で集まったことが重要で、監督としては、それだけがわかれば十分でした。中身についてはメディアを通じて知りました」
――選手が自分たちで考え、主体性を持つのが、強い集団の条件。
「日頃の積み重ねが、あのポストシーズンという舞台でできました。選手ミーティングにしても、あの時だけやっていたわけじゃないですからね。シーズン中から、選手だけ、コーチだけ、選手、コーチの合同と、メンタルコーチが、色々と考えてくれましたから」
計算ずくで鍛えあげられたチームメンタルが日本一の背景にあった。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)