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プロ野球選手会が新庄監督のソフトバンクへ移籍した上沢に関する発言にクレームがつけた(写真・黒田史夫)
プロ野球選手会が新庄監督のソフトバンクへ移籍した上沢に関する発言にクレームがつけた(写真・黒田史夫)

「誹謗中傷は論外だが新庄監督はファンの意見を代弁しただけ」「どっちもルール違反はしていない」プロ野球選手会が日ハム新庄監督の“上沢批判発言”にクレームをつけてSNSで波紋

 選手会の立場から上沢を擁護するのは理解できる。だが、新庄監督は、一連の発言で一度も制度の違反などを指摘していない。メディアに大きく取り上げられる新庄監督のコメントの影響力は無視できないが、選手会が、言論統制ともとれる要望をするのは、いかがなものか。
 球界大御所の広岡氏は、上沢問題にこんな意見を口にしていた。
「たった1年で日本球界に帰ってきて、しかも、高額な条件で、いきたい球団に行けるのは、そういう制度を認めているコミッショナーに問題があるが、新庄が怒るのも理解できる」
 そしてこう持論を展開させていた。
「こんなことがまかり通っていれば日本球界はダメになる。過去にメジャーでの経験をチームに持ち帰り勝利に貢献したという選手がいないわけではない。ソフトバンクの有原航平や引退したヤクルトの青木宣親、広島の黒田博樹もそうだろう。だがほとんどのメジャー帰りの選手が高額な契約にふさわしい結果を残していない。その典型が松坂大輔だ。将来的に日本に帰ってくる際にもなんらかのルールを作っておく必要があるのではないか。そして契約について言えば、出来高払いに大きくシフトした契約にするべきだ」
 選手会が、NPBに持ちかけるべきは、メジャー移籍に関する制度の見直しだろう。
 新庄監督は、ポスティングによるメジャー移籍後に、日本球界に復帰する際、最低1年は、元球団でプレーすることを制度化することを提案した。だが一方である球団の幹部は、その制度の見直しのリスクをこう懸念した。
「元の球団にNPBだけに関して保有権が残るようなルールを作れば、メジャーでダメでも、元の球団でプレーできることが保証されることになり、ポスティングでのメジャー移籍を要望する選手がますます増える可能性がある。そうなると有望選手のメジャー流出がさらに増えて問題となり、NPBの存在意義が問われることになる。ほぼ全球団がポスティングを容認する流れができつつある動きが、ストップする可能性もある。制度の見直しには、あらゆるケースを想定して、何が選手と球団の両方にとってベストの妥協点になるかを議論しなければならない」
 これも正論。有識者を集めての議論を早急に行う必要があるだろう。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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