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衝撃告白!WBA世界ベルトへ挑戦の比嘉大吾の“名参謀”が「負けたらトレーナーを辞める」…進退をかけたハッパに“沖縄の倒し屋”は応えることができるのか
プロボクシングの「プライムボクシング11」(24日・有明アリーナ)の公式会見が22日、都内のホテルで行われ、出場6選手がそれぞれ意気込みを語った。バンタム級の好カードが、3試合揃った興行の注目の1戦が、WBA世界バンタム級王者、堤聖也(29、角海老宝石)と元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(29、志成)のタイトルマッチだ。一度は考えた引退を翻意して堤に挑む比嘉を長年支えてきた野木丈司トレーナー(64)は「大吾が負けたらトレーナーを辞める」と悲壮な決意を明かした。名トレーナーが身を挺してかけたハッパに比嘉は応えることができるのか。
「勝てばまたできる。負ければもうできない」
どちらが勝ってもおかしくない。米老舗のリング誌のパウンド・フォー・パウンドランキングで9位入っているWBC世界バンタム級王者の中谷潤人が無敗の23歳の長身メキシカンを迎え討つメイン、WBOアジアパシフィック同級王者の那須川天心が転向6戦目で前WBO世界同級王者のジェーソン・モロニー(豪州)に挑む“世界戦査定マッチ”とバンタム級の好カードが並んだが、その中でも、最も予想が難しく勝負論があるのが、堤―比嘉のWBA世界同級タイトルマッチだろう。
昨年10月に井上拓真(大橋)との激戦を制してベルトを奪った堤は、これが初防衛戦。昨年9月にWBO世界同級王者の武居由樹(大橋)からダウンを奪いながらも判定負けを喫した比嘉は、一度は決意した引退を翻意して2戦連続で世界王者に返り咲くチャンスを手にした。
公式会見では堤が「堤聖也らしい、サイクロンのような熱いボクシングをしたい」と言えば、比嘉は「戻ってこれたことに感謝をしつつ、この舞台を楽しみたいと思う。一番盛り上がる試合になると思うのでよろしく」と返した。
2人は1995年生まれの同級生。沖縄県立宮古工業高出身の比嘉と熊本の九州学院高出身の堤は、高校時代に九州大会で2度対戦して堤が連勝。プロでも2020年10月に対戦したがドローに終わっている。
「4年前とはお互い全然違うのは明らか。正直、そこは気にしていない。直近の試合を見てバンタムでも世界チャンプになる実力がある選手と思っている。強い選手との試合。そういう心構えでいる」
堤がリスペクトを口にすると比嘉も王者に敬意を示した。
「前にやったときから濃い試合をこなして強いチャンプに勝ってきている。お互いにこの4年でどう変わったか。明後日はいけるんじゃないか」
さらにバンタム級でのそれぞれの立ち位置と、今後の展望について話が及ぶと堤が、「僕は今一番新しい世界王者なんで、この試合でまた色々と評価されるんじゃないか。もう2日前。比嘉戦のことしか考えたくない」と語れば、比嘉も「立ち位置は挑戦者。今後は、みんな強いんであまり誰ともやりたくない(笑)。明後日に集中します」とジョークを交えて答えた。
ただ比嘉陣営の野木トレーナーだけは「最終ラウンドに“殺して来い!”というくらいのハッパをかけたい」と、生々しい言葉を使っていた。
会見終了後、野木トレーナーが秘めたる覚悟を明かした。
「この試合でもし大吾が負けたらトレーナーを辞めるつもりです」