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那須川天心と元世界王者のモロニーが決戦を前にフェイスオフ(写真・山口裕朗)
那須川天心と元世界王者のモロニーが決戦を前にフェイスオフ(写真・山口裕朗)

那須川天心が今日注目ゴング!「武居由樹との世界戦をやりたくてもすぐにはできない」…例え“難敵”元世界王者モロニーを撃破できても立ちはだかるボクシング界の特殊事情

 天心がモロニーに勝てば次戦でファン待望の武居へのタイトル挑戦が実現するのか。実は、結果と内容で、昨年5月の武居ーモロニー戦を上回ったとしても、次戦で武居との世界戦は組まれない。帝拳ジムの最高責任者が「もともとその計画だった」と明かした。
 武居は右肩の怪我で延期となった同級10位ユッタポン・トンディ(タイ)とのV2戦を5月28日(横浜BUNTAI)に行う予定だが、これをクリアすると、西田と挑戦者決定戦を戦った経験があり、天心のスパーリングパートナーも務めた同級1位のクリスチャン・メディナ(メキシコ)との指名試合を戦わねばならず、天心はその結果「待ち」の状況になるという。
 ボクシング界は、世界王者が自分都合でベルトの安直な保持を続けないように、ランキング1位との指名試合を定期的に義務づけており、その指令に従わない場合にはベルトを剥奪されるケースもある。独特のルールだ。
 武居がその指名試合をいつ行うかの時期にもよるが、帝拳サイドは、武居と天心との世界戦を11月末と想定している。天心は、モロニー戦の後に、もう1試合“世界前哨戦”を挟むことになる。
 またこの指名試合の問題が、日本人がバンタム級の王座を独占しているにもかかわらず、なかなか統一戦が実現しない原因となっている。
 スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)のように統一戦が指名試合より優先されるケースもあるが「井上は特別。この王者なら持っていて欲しいという王者が出てこない限り、どの団体も統一戦は嫌がる」との事情がある。
 ランキング上位との対戦を続けているWBC王者の中谷一人だけがフリーの状況で、互いに対戦を熱望しているIBF同級王者の西田は、次戦で同級4位のホセ・サラス・レイエス(メキシコ)との指名試合を消化せねばならず、中谷がメインで無敗の23歳のダビド・クエジャル(メキシコ)を撃破しても次戦での統一戦は難しい。
 中谷のプロモートを任されている帝拳サイドは、西田がその指名試合の関門さえクリアすれば、統一戦の実現へ動く方向だが、まだ確定はできない。
 また今回3試合組まれた“バンタム級ウォーズ”の中で、最も勝負論があり、勝敗予想の難しいWBA世界同級王者の堤聖也(角海老宝石)と元WBC世界フライ級王者、比嘉大吾(志成)の世界戦の勝者も次戦ではWBA世界同級暫定王者のアントニオ・バルガス(米国)との統一戦が待っていて、こちらも他団体との統一戦には動けない。オプションは、前王者の井上拓真が所属する大橋ジムが持っているが、暫定王者との統一戦を差し置いて、拓真に王者返り咲きのチャンスが先に訪れるかも微妙なのだ。
 ただひとつだけ言えるのは、負けるとそこでビッグファイトのチャンスがなくなるということ。今日、有明アリーナで組まれた世界でも屈指の3つのバンタム級の好カードは、「負けることの許されない」バンタム級の“ザバイバルマッチ”のスタートということになる。
 天心が言う。
「やることをやってきた。試合が待ち遠しい。カラ元気ではなく、ワクワクさせますよ」
 Amazonプライムビデオで独占配信されるバンタム級の3試合は、堤ー比嘉、天心ーモロニー、中谷ークエジャルの順に午後6時過ぎから始まる予定だ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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