
なぜ大阪マラソンで折り返し地点間違いのミスが起きたのか… ロスがなければ日本新?“初挑戦”日本最高を塗り替えた箱根駅伝激走の青学大・黒田朝日とホープ近藤亮太の可能性
これで世界大会を狙う意欲が出てきたかと思いきや、「そんなに世界にこだわってやりたいわけじゃないので、その時々だという感じだと思います」と、大学ラストイヤーを迎える来季も、「学生三大駅伝」が最大のターゲットになるようだ。
昨季の途中までは3000m障害がメイン種目で、マラソンでも素晴らしい結果を残した黒田は様々な可能性を秘めている。
「将来的にはどうなるかわかんないですけど、自分のやりたいようにやろうと思います」と、そのときにやりたい種目で勝負していきたい考えだ。
初マラソンで快走した近藤と黒田は今後が非常に楽しみだが、2回目以降のマラソンは簡単ではないようだ。
レース後の会見に出席した日本陸連の高岡寿成シニアディレクターは、「初マラソンで一番の強みはマラソンの苦しさを経験していないことです。マラソンの苦しさを一度知ると、それを乗り越えるのは簡単ではありません。2回目以降は、『こんなはずじゃない』という思いが先行してしまうのがマラソンの難しさです。それを乗り越える本当の強さが必要になってくると思います」と話した。
今年を含めて、大阪マラソンでは4年連続して〝初マラソン日本最高記録〟が誕生したことになる。以下が、これまでの記録だ。
2022年 星岳(コニカミノルタ)2時間07分31秒
2023年 西山和弥(トヨタ自動車)2時間06分45秒
池田耀平(Kao)2時間06分53秒
2024年 平林清澄(國學院大)2時間06分18秒
2025年 小林亮太(三菱重工)2時間05分39秒
黒田朝日(青学大)2時間06分05秒
※なお今年2月2日の別府大分で若林宏樹(青学大)が2時間06分07秒をマークしている。
星は2022年のオレゴン世界陸上で38位(2時間13分46秒)、2023年10月のMGCで22位(2時間12分28秒)と苦戦。西山は2023年のブダペスト世界陸上で42位(2時間17分41秒)、昨年3月の東京が23位(2時間10分29秒)、同年12月の福岡国際で9位(2時間11分33秒)、今回の大阪も38位(2時間10分34秒)に終わった。平林は今年2月の別府大分毎日で9位(2時間09分13秒)に沈み、狙っていた東京世界陸上代表が絶望的になった。
唯一の例外といえるのが、高岡シニアディレクターが指導する池田だ。2023年10月の杭州アジア大会で6位入賞(2時間15分04秒)を果たすと、昨年9月のベルリンで6位に食い込み、日本歴代2位の2時間05分12秒をマークしている。
世界は2時間1~3分台が当たり前になっており、超高速化の時代に突入した。日本マラソン界に本当の新星は現れるのか。日本陸連が定めたロス五輪の「ファストパス」の設定タイム(2時間03分59秒)を突破する選手が何人も出ることを期待せずにはいられない。
(文責・酒井政人/スポーツライター)