那須川天心の元世界王者モロニー判定勝利は本当に「アンフェア」だったのか…比較されたWBO王者の武居は「スタイルを変えた相手をさばいたのは凄い」と評価も両者の対戦計画は大幅変更へ

「“関係ないっしょ、気持ちっしょ”って言っている自分がいかなきゃどうするんだって。2人の戦いだが2人の戦いだけじゃない。お客さんも見ている。（気持ちを）乗せられちゃいますよね。見ている人は、ハラハラはするだろうけど、勇気だったり、新しい可能性を見せたいという気持ちが勝っちゃいますよね」
　結果的に被弾が目立つことになり、このラウンドをジャッジの2人はモロニーにつけたが、会場のボルテージを最高潮にしての試合終了のゴングは、天心が、今後、大スターになるべき資格を持つことも証明したのかもしれない。
　リングサイドで武居と並んで見ていた大橋秀行会長は、「最終回に倒そうとする姿を見せたね。逃げに回ったらアレだったが、このいい経験でまた伸びる」と天心が持つ“キラー”の一面を見抜いていた。
　勝敗の行方は判定にもつれこみ天心の右手が上がった。
「97―93」が2人、「98―92」が1人の圧勝だった。
　両目を腫らした天心は、お約束の売りの顔が傷ついたうんぬんの話をリング上でしていたが、それは誇らしい勲章だったのかもしれない。
　だが、この採点に憤懣やるかたなかったのがモロニーである。
「ジャッジに魅力的な試合でなかったのかもしれないが、僕の方がパンチをたくさん当てていて、効かせた印象があった。採点で僕にポイントがいかないラウンドがあれだけあったのは残念だ。接戦だった。1ラウンドくらいの違いだと思った。圧倒してポイントをとったラウンドはあった。もう少し競っていると思ったが、一人が、98－92とつけたのは、アンフェア。僕が勝ったと思ってくれた人もいる」
　そして「今度は12ラウンドで戦いたい」と天心にリマッチを要求した。
　質疑は終わったが、陣営のコンサルティングをしているドン・マジェスキー氏が、自らマイクを持ち、皮肉を交えてこう主張した。
「勝っていたのではないかという印象がある。ジャッジはもっと厳しく見ていかないと。理解できない部分が多くある。日本のコミッションはジャッジの教育をするべき。今後、不公平な採点がないことを祈る」
　今回のジャッジ構成は公平をきすため、日本人に偏らず、染谷路朗（日本）、メキン・スモン（タイ）、エドワルド・リガス（フィリピン）の構成だった。98―92とつけたのはタイ人でモロニーを支持したのは1ラウンドと6ラウンドだけだった。
　モロニーの公開練習で代表司会者から「判定では天心、KOではモロニー」という予想を聞き「誰が言ってんだ？」「ジャッジが公平じゃないということか？」と“プチ論争”を仕掛けたアンジェロ・ハイダー・トレーナーの危惧した通りの結果になった。会見を見守っていたそのトレーナーを直撃した。
「モロニーが10のうち6つのラウンドはとっていた。君はどう思う？」
　逆に質問を受けた。