
那須川天心の元世界王者モロニー判定勝利は本当に「アンフェア」だったのか…比較されたWBO王者の武居は「スタイルを変えた相手をさばいたのは凄い」と評価も両者の対戦計画は大幅変更へ
筆者が「どれだけモロニーを贔屓目に見ても取ったラウンドは3つまで。前に出たけどパンチは当たっていない。10-10のラウンドにはジャッジの好みが出るし、そこにはホームタウンアドバンテージが加味されるのはボクシングでは当然の話」と返すと、ハイダートレーナーは、「そこは理解している」とうなずき、それ以上反論はしなかった。これが「アンフェア」疑惑の答え。
天心に会見でモロニー発言を伝えた。
「ボクシングはKOも大事だが、倒すだけではない。(パンチを)当てていたのは僕。相手の印象が良く取られた(ラウンド)もあるが、ポイントを取られたなという焦りはなかった。ジャッジは3人いて色んな見方がある。一番はジャッジに手を委ねないのが大事。お互いにこういう試合はちょっとした差のポイントが大事になってくる。僕はポイントを取るのがうまい。取っていったところは多いと思う」
この試合は天心が標的にしている武居と比較される“世界戦査定マッチ”だった。結果は同じ判定勝利。武居は12ラウンドを戦い、5ポイント差が2人、7ポイント差が1人で、天心は10ラウンドで6ポイント差が1人、4ポイント差が2人。2人共にポイントで大差をつけ、2人共にピンチもあった。
実際に2人と戦ったモロニーの比較はこうだ。
「2人は違うスタイル。どちらもグッドファイターであり弱みもあった。2人が戦えば?ともに強く素晴らしい選手。どんな展開になるのかわからないのが、ボクシングの美しいところじゃないか」
社交辞令に徹し本音を明かさなかった。
では試合後にリングに上がった武居は天心の戦いをどう見たのか。
「判定でポイントを取って勝つんだろうなという予想通りだった。あとは天心選手の気持ちが見られたのが良かった。あの運動量を10ラウンドやり続けたのは凄い」
――昨年5月に戦ったモロニーとは違った?
「モロニーは1ラウンド目からガンガン前へ出てプレッシャーをかけて天心選手を下がらせた。自分とやった時とはスタイルが違った。自分が12ラウンド目にやられたスタイルを最初からやってきた。それをしっかりとさばいた天心選手は凄い。(1ラウンドに)パンチをもらって修正する力も見れた。そこも凄いなと。6ラウンドはハラハラした。いい試合を見られた」
武居は「凄い」を3度使ってライバルを称えた。