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まるで顔面パック?!天心に判定で敗れたモロニーは大量のワセリンを塗っていた(写真・山口裕朗)
まるで顔面パック?!天心に判定で敗れたモロニーは大量のワセリンを塗っていた(写真・山口裕朗)

「そんなに塗ったら反則やん」那須川天心に敗れた元世界王者モロニーの大量ワセリン使用問題を“ロマチェンコと戦った男”が問題視…「天心はクセを盗まれていた」の指摘も

 中谷氏は「パンチはない(笑)。じゃあパンチのないボクサーがKOを演出できないのか?と言えばそうではないんです。ただKOを求めるのであれば、そこへのアプローチを変えなければならない。コツコツとダメージを蓄積させ、流れの中でカウンターを狙う。あるいは猛スピードの回転連打でストップさせる。スーパーミドル級の実質の4団体統一王者だったジョー・カルザゲのようなスタイルを追求すればいいのでは」という意見。
 英国を代表する“レジェンド”のカルザゲは、WBA、WBC、WBO世界スーパーミドル級の3団体統一王者で、IBF世界同級王者も保持していたことがあり、バーナード・ホプキンスや、ロイ・ジョーンズ・ジュニア(共に米国)というビッグネームにも黒星をつけ、46戦46勝(32KO)無敗という戦績で引退した。天心と同じサウスポーでパンチ力はなかったが、恐るべき手数とスピードでファンを魅了してKOを量産した。
 この試合は、世界に向けての査定マッチだった。昨年5月にWBO世界王者だったモロニーから武居由樹(大橋)が判定勝利でベルトを奪ったが、その比較で天心の実力を見極め、世間にもアピールするというテーマがあった。
 中谷氏は、両者の比較をどう見たのか。
「武居は最終ラウンドに危ない場面がありましたよね。海外でやっていればストップされていてもおかしくなかった。それに比べて天心は被弾はしたが、危ない場面はなかった。天心は10ラウンドで武居は12ラウンド。その差はあるが、自力という点では、天心が上であることを示したんじゃないですか。この試合で天心はますます自信をつけたでしょう。もう世界挑戦する資格は十分あるんじゃないですか」
 天心の次戦は6月に再び世界ランカーとのノンタイトル戦が予定されている。それをクリアすれば、いよいよ11月末に世界挑戦するプラン。ただ武居は右肩の怪我で延期となった同級8位ユッタポン・トンディ(タイ)とのV2戦を5月28日(横浜BUNTAI)に行い、これをクリアすると、9月に同級1位のクリスチャン・メディナ(メキシコ)との指名試合を戦わねばならず、年内に天心の挑戦を受けるタイミングがない。天心は、スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)とのビッグマッチに向けて、王座を返上する可能性の高い中谷潤人(M.T)のWBCのベルトに照準を定めていると見られる。
 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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