
3.13両国のユーリvs拳四朗フライ級統一戦は史上最高の“頭脳戦”となるのか…ユーリは6月誕生予定の第三子を「王者のまま迎えたい」…拳四朗陣営は「彼を大きく見せない試合にする」
2人は、これまでスパーリングで、計4クールほど拳を交えている。8ラウンドのロングスパーも2度敢行した。最後は、昨年の1月。2人は1月23日の同時興行で、拳四朗はカルロス・カニサレス(ベネズエラ)との防衛戦、ユーリはWBO王者のアルテム・ダラキアン(ウクライナ)への初挑戦を前にしていた。このスパーリングを見た関係者の話によると拳四朗が圧倒していたという。
ユーリも「スパーリングではやられた記憶しかない」と認めている。だが、スパーリングと本番では、ヘッドギアもなくなり、グローブも8オンスに変わり、まったく違う世界観が待ち受けるのがプロボクシング。加藤氏は「スパーと試合は違う。スパーでやっても試合でやられることがある。(過去のスパー)内容は気にしてない」とした上で、「(ユーリは)拳四朗の良さを知っている。その上で作ってくる。そこを一番警戒している」という。
繰り返すがユーリは拳四朗の警戒すべき点を「嫌なリズムと間合い」と語った。
「そこへの意識が強いのでしょう。駆け引きする分もあり、試合でお見せしたい。いい表情だった。いい試合になると思う」
頭脳戦は“名参謀”の得意範疇である。
ユーリはフライ級がナチュラルな階級。しかも、今回は出身大学である環太平洋大のサポートを受けて「毎日」のペースでフィジカルを強化し「筋量を増やした」という。
一方の拳四朗はライトフライ級から上げてきて、これが2試合目。ただ減量が苦しく、ライトフライ級は決して適性階級ではなかった。「ライトフライでもでかい方だったので体格差はない」としつつも、加藤トレーナーはこう話した。
「(ユーリは)リングに立つと大きく見えるといわれる。映像を見ても大きく見える。リングに上がると表情も堂々としている。大きく見えないような戦い方をしたい」
というと?
「ユーリの思い通りにプレッシャーをかけられれば大きく見える。好きにさせないということ。彼も今会見で言っていたが、パワーファイターではない。パンチ力よりもタイミングや角度が脅威」
なんとも意味深な謎かけのような問答である。
早くも駆け引きが始まっている。史上最高の頭脳戦が見られるのかもしれない。
日本人同士による統一戦は、2012年のWBC世界ミニマム級王者の井岡一翔(志成)が判定で、WBA世界同級王者の八重樫東(大橋)に勝利した死闘と、2022年にWBC世界ライトフライ級王者の拳四朗が、今回の興行でWBO世界同級王者のアンソニー・オラスクアガ(米国)に挑む当時WBA世界同級スーパー王者だった京口紘人(ワタナベ)に7回TKO勝利した激戦に続く、史上3度目。ユーリは3月3日には故郷の倉敷に戻り、減量を含めた最終調整に入る。