
「井上尚弥は戦うべき相手と戦っていない」5.4米国で挑戦辞退ピカソの代役に急浮上WBA2位ラモン・カルデナスは相手の顎を折った「地獄のパンチを持つ男」で“宿敵”の練習仲間
プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)が5月4日(日本時間5日)に米ラスベガスのT―モバイルアリーナでWBA世界同級2位のラモン・カルデナス(29、米国)と対戦する可能性が濃厚になった。米専門サイト「ボクシング・シーン」が複数の関係者の話として伝えたもの。当初はWBC1位の無敗“IQボクサー”アラン・ピカソ(23、メキシコ)と対戦予定だったが、ピカソを恐れをなして挑戦を辞退しカルデナスが代役に指名され、交渉は最終段階にある。カルデナスはどんなボクサーなのか…浮き上がってきたのは危険な横顔だ。
交渉は最終段階
“敵前逃亡”した32戦無敗のピカソに代わって井上の対戦相手としてWBA同級2位のカルデナスが急浮上してきた。「ボクシング・シーン」が「2人の関係者によると交渉は最終段階にある」と報じた。
またモンスターが米上陸する日は5月4日で会場としてラスベガスで数々のビッグマッチが開催されている2万人収容の“新聖地”T-モバイルアリーナになることも明かした。
カルデナスはテキサス州サンアントニオ出身のメキシコ系アメリカ人。5月4日がメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」のウィークであることから、ピカソと同じく、メキシカンから代役を探していたが、4団体のランキングに最上位にあるカルデナスに白羽の矢が立った。
ではカルデナスとはどんなボクサーなのか。
27戦26勝(14KO)1敗の戦績を持つオーソドックススタイルのボクサーファイターで、WBA2位、IBF8位、WBO10位にランキングされ、米のボクシング配信会社である「ProBox TV」と専属契約を結んでいる。
同サイトは「地獄のパンチ力を持つ男」として紹介。
2月8日に地元で20勝無敗のブライアン·アコスタ(メキシコ)を3-0判定で下した前戦を「印象的な試合」として例にあげた。
対戦相手のアコスタは井上のスパーリングパートナーとして来日経験があるパンチャーで、カルデナスは、7ラウンドに左フックから押し倒されるような形で不運なダウンを奪われたが、2人のジャッジが1ポイント差という僅差ながら3-0判定で勝利を手にしている。
また「究極のハイライト」として昨年2月のWBC中央アメリカスーパーバンタム級王座決定戦で、6ラウンドTKO勝利したイスラエル・ロドリゲス・ピカソ(メキシコ)との地域タイトル戦を紹介した。
「彼は非常に悪質なパンチを放ったため、ピカソの顎が粉々になり、戦いの即時停止を余儀なくされた」
6ラウンドにカルデナスの強烈な右のカウンターが炸裂。ダウンこそしなかったが、井上が対戦予定だったピカソとは、別人のピカソは、口をだらんと開ける格好となり、このラウンド終了後に試合続行不能を訴えて棄権した。カルデナスの“地獄のパンチ”で顎が粉々に骨折していたのだ。
同サイトは「ボクシングシーン」の経営者であり「ProBox TV」の創設者でもあるギャリー・ジョナス氏のカルデナス評をこう伝えている。
「彼はこの階級の中では非常に強く打つ。…まるでラバ(牡ロバと雌馬の公雑種)のように強打をするんだ」
この表現は決して大げさではない。
2023年9月には、ラフェエル・ペドロサ(パナマ)を強烈なカウンターの左フックで2度もダウンを奪い、2ラウンドでTKO勝利。ペドロサは、当時無敗で「番狂わせ」と評された。昨年4月には、WBA北米大陸スーパーバンタム級王座決定戦でヘスス・ラミレス・ルビオ(メキシコ)と対戦し、序盤は一進一退だったが、9ラウンドに左のボデイショット一発で悶絶させKO勝利した。