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  • 凄い試合!同門“ライバル”那須川天心の前で日本バンタム級王者の増田陸が壮絶打撃戦を制し6回TKO防衛…「まだ通用しない」と自己批判も相手陣営は「攻撃力はすでに世界王者レベル」と絶賛
名門帝拳の増田陸(左)が松本海聖との壮絶な打撃戦を制して6回TKO勝利(写真・山口裕朗)
名門帝拳の増田陸(左)が松本海聖との壮絶な打撃戦を制して6回TKO勝利(写真・山口裕朗)

凄い試合!同門“ライバル”那須川天心の前で日本バンタム級王者の増田陸が壮絶打撃戦を制し6回TKO防衛…「まだ通用しない」と自己批判も相手陣営は「攻撃力はすでに世界王者レベル」と絶賛

 プロボクシングの日本バンタム級タイトルマッチが1日、後楽園ホールで行われ、王者の増田陸(27、帝拳)が同級1位の松本海聖(23、VADY)に6ラウンド2分18秒TKO勝利して2度目の防衛に成功した。世界の上位にランキングされている増田にとっては、世界挑戦の可能性を探る査定試合。ジャブや攻撃に工夫を見せ、激しい殴り合いを制したハートも含めて著しい進化を示したが「50点。まだ世界では通用しない」と厳しく自己採点をした。

 「キャンバスに倒れていないので満足はいかない」

 ここで仕掛けるのか。増田の非凡さ、そして著しい進化を示す象徴的シーンだった。6ラウンド開始と同時に左ストレートを思い切り強打したのだ。
「後半に差し掛かって、(松本の)攻撃パターン、距離をつかまえていた。倒しにいく作戦で強く出た」
 5ラウンドを終え、公開された採点はフルマークが1人、49―46が2人で増田を支持していた。5ラウンドは、松本がバッティングで右目上をカットしたが、ワンツーを何発も打ち込まれ、ジャッジの2人は挑戦者を支持していた。 
 しかし増田の勝負勘は自らにGOサインを送っていたのである。
 松本も黙っていなかった。2022年のバンタム級の全日本新人王。デビュー以来、9戦全勝(5KO)でトップコンテンダーにまで上り詰めた勢いがある。負けじと反撃。1759人ものファンで埋まった後楽園を熱狂させる壮絶な殴り合いとなった。増田の左だけでなく右も何発も当たった。だが、打ち疲れたタイミングで松本の右をもらう。今度は増田の足が止まった。
「手応えはあったが、最後は雑なパンチな出し方になり、これじゃあ倒せないというのが、ずっと頭にあった。打たれたところ?あまり効いてはいない。パンチは見えていたが、これをもらっていたら、まくり返されるという可能性も感じた」
 一方の松本は打撃戦の中で左目上もカットした。
 激しい流血で「目は見えていなかった」という。
「引いたら止められる、だから打ち返そうと。(パンチは)効いてはいないが、一瞬、くらっというのはあった」
 気持ちと気持ちのぶつかり合い。
 だが、その中でも増田は本能に走るメンタルにブレーキをかけていた。
「考えずにパンチを出せば、もらって倒える。半分はコントロールする意識を持ち、タイミングを見たり、打ち終わりを狙ったりした」
 末恐ろしい。
 もう一度エンジンをかける。強烈な左が炸裂し、したたかダメージを受けていた松本の動きが止まったのを見て、レフェリーが間に入ってTKOを宣告した。VADYのセコンドは一瞬、不満の声を漏らしたが、懸命な判断だった。
「血も出ている。止められてもしゃあない」
 当の松本も納得していた。

 

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