
誰が選ばれても賛否は必至?!東京世界陸上男子マラソン代表の3人目は東京を制した“スーパー店員”の市山翼か、大阪でトップの近藤亮太か…そして彼らは世界と戦えるのか?
9月の東京世界陸上の代表選考会を兼ねた東京マラソン2025は2日、東京都庁発~東京駅前着の42.195キロコースで行われ、男子はタデセ・タケレ(22、エチオピア)が2時間3分23秒で優勝、スーパー店員である異色のランナー市山翼(28、サンベルクス)が2時間6分0秒で日本勢最高の10位に入った。これで東京世界陸上の男子の選考会は終了。枠は3つで参加標準記録の2時間6分30秒を11人がクリアしている。
小山直城(Honda)と吉田祐也(GMO)は当確
約3万8000人が駆け抜けた東京マラソン2025。男子の日本人トップに輝いたのは少し意外な選手だった。日本勢は2時間1分台を目指す第1グループに箱根駅伝で大活躍した太田蒼生(青学大)が唯一食らいつき、2時間3分台を狙う第2グループには赤崎暁(九電工)、池田耀平(Kao)、浦野雄平(富士通)が挑戦した。
太田は日本記録(2時間04分56秒)のペースを大きく上回る1時間01分19秒で中間点を通過したが、ほどなく遅れだす。28㎞過ぎに日本人トップから陥落すると、その後もズルズルと順位を落として、36㎞地点で途中棄権した。
一方、第2グループは中間点を1時間02分08秒で通過。23㎞付近で浦野が徐々に離されていく。30㎞を1時間28分36秒で通過して、ペースメーカーが離脱すると、パリ五輪6位入賞の赤崎も苦しくなった。そして昨年のベルリンマラソンで日本歴代2位の2時間05分12秒をマークした池田が日本人トップをひた走った。
このまま池田が逃げ切るかと思われたが、35㎞を過ぎて一気にペースダウン。暑さに苦しむ選手が続出したなか、終盤に圧巻の走りを披露したのが市山だった。
2時間04分30秒ペースの第3グループでレースを進めた市山は中間点を1時間02分44秒、30㎞を1時間29分13秒で通過。その後、井上大仁(三菱重工)らを引き離すと、赤崎と浦野を抜き去った。さらに39.8㎞で池田を大逆転。40㎞までの5㎞を15分03秒でカバーして、日本人トップを奪ったのだ。
市山は自己ベストを1分41秒も更新。日本歴代9位となる2時間06分00秒の10位でゴールに飛び込んだ。「まだ先に日本人選手がいると思っていたんです」と〝日本人トップ〟に驚きの表情を見せたが、暑さのなかでも冷静にレースを進めたのが良かったようだ。
「下りが得意ではないので前半はうまく動かすことができなかったんですけど、下りが終わってからリズムを戻せたことが、後半の走りにつながったかなと思います。あまりタイムは意識していなくて、後半もとにかくリズムを崩さない意識で走ったんです。我慢強さと根性。他のことを気にしている余裕はないので、我慢、我慢の積み重ねで30㎞以降は走りました」
市山はスーパーマーケット「ベルクス」の草加青柳店に週4日勤務している選手。8時から13時まで働いた後、トレーニングを重ねて、今年9月に開催される東京世界陸上の日本代表候補に名乗りを挙げた。
その他の日本勢は井上が2時間06分14秒で12位、浦野が2時間06分23秒で13位。市山を含む3人が東京世界陸上の参加標準記録(2時間06分30秒)を突破したことになる。
なお注目を浴びていた池田と赤崎は14位(時間06分48秒)と17位(2時間07分48秒)に終わった。
東京マラソンで男子は東京世界陸上の選考レースがすべて終了したことになる。日本代表は最大3枠。どうやって選考されるのか。