
来春激突!井上尚弥が中谷潤人に「実力は認めるがどれだけの激戦を越えてきたのか」と疑問を呈して「周りが納得する相手と戦って結果を出して欲しい」と異例の注文をつけた理由とは?
だが、井上にも2階級4団体統一王者の“自負”がある。
珍しく来春のビッグマッチに向けて中谷にこんな注文をつけた。
「実力は認めるが、では、どれだけの激戦を越えてきたのかというとどうなのか。周りが納得する相手と戦って結果を出していってほしい。お互いが勝ち進めば盛り上がると思うので」
中谷のベルトは、まだひとつだけ。昨年2月に6回TKOで倒して、WBC王座を獲得したアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)は、井上と2度戦った元5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)に勝った危険な相手だったが、まだ超トップレベルとの対戦機会には恵まれていない。
6月にはIBF世界同級王者、西田凌佑(六島)との統一戦が予定されており、これが、井上が要求する「周りが納得する相手」の第一弾となるのだろう。
井上が、中谷にそれを要求する理由は、常に「最強の相手」と「自らが強くなること」を追求しているモンスターの矜持に他ならない。中谷が強くなればなるほど、井上のモチベーションも、そして何よりすでにドーム級の会場を抑えているともされるボクシング史に残る究極の日本人対決が盛り上がる。
井上は、「来年の春に実現できればいいし、もしもその試合が実現しなければ別の道もある。今年は(キム戦を含め)4試合になると思う」とも続けた。
「減量は、全然問題ない。いまはスーパーバンタム級がベスト体重。だからボールと戦ったあとスーパーバンタム級に戻るつもり」とも語っているが、“別の道”とは、前人未到の3階級4団体統一の偉業を達成するべく、フェザー級の統一路線への舵切りだろう。
1か月の延期、直前の対戦相手変更という考えられないようなアクシデントを乗り越えて1月24日に“勇気ある代役”のキムを倒した井上は、いつもより、ロードワークの再開時期こそ遅れたが、すでに2月末から「誰を想定しているとかではなく、いつもどおり」スパーリングを再開しているという。