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日本歴代9位の好タイムで日本人トップでゴールした佐藤早也伽(積水化学)(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
日本歴代9位の好タイムで日本人トップでゴールした佐藤早也伽(積水化学)(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

名古屋ウィメンズマラでペースメーカーが機能せずコースを間違える“不手際”…佐藤早也伽が日本歴代9位に好タイムで日本人トップもどうすればミスを撲滅できる?

 最大のミステイクはペースメーカーがうまく機能しなかったことだろう。序盤は風の影響があったとはいえ先頭集団のペースが安定しなかった。
 2時間20分前後のタイムが見込めるキロ3分19~20秒が設定されていたが、10㎞で予定より8秒ほど遅れると、10~15㎞はさらにタイムを落とした。テレビ解説の金哲彦氏は、「第1集団のペーサーがあまり時計をみてないんですよ」と伝えていたが、「前半はキロ3分20秒をちょっと超えるペースが続いていたので、声をかけさせていただきました」と加世田はペースアップを促している。
 また10㎞過ぎの給水所ではペースメーカーの1人が一度通り過ぎた後、逆走してボトルを取りに戻り、選手と激突しそうになった場面もあった。さらに23㎞過ぎにはコースを間違えるアクシデントが勃発した。
 ペースメーカーがカラーコーンで区切られていたエリアに侵入。なぜか左側のコース外を走り、集団もついていく。加世田だけは気づいており、右手で正式なルートを伝え、集団が慌ててコースに戻る場面があった。
 数秒のタイムロスをした選手はいたかもしれないが、優勝したチェプキルイは、「まったく影響はなかったと思います。レース中はいろんなことに対応できるように心がけています」と余裕のコメント。
 日本人トップになった佐藤も「コースを間違えた影響は特になく、私もコースの入り組んだところをよく理解していませんでした。でもそんなに動揺もなく落ち着いて走れました」と振り返っている。
 2週間前に行われた大阪マラソンでも先頭集団が30㎞を通過した後の折り返し地点を素通りしてしまい、30mほど遠回りしている。このときは設置するはずだったカラーコーンを置き忘れたのが大きな原因だった。
 今回は運営側のミスとはいえないかもしれないが、日本代表選考レースでまたしてもコース間違いのトラブルが発生。日本陸連強化委員会の高岡寿成シニアディレクターは「運営の方々がアイディアを練って対策をしてくれるんじゃないかなと思っています」と今後の改善を求めた。
 今回のようなトラブルを防ぐにはどうしたらいいのか。
 まずは東京マラソンのように日本人選手のペースメーカーを1人つけて、レースの流れが安定しにくい10㎞までを確実にナビする方法があるだろう。それから外国人ペースメーカーにコースの把握を徹底させて、間違いがなるべく起こらないようにしていただきたい。
 そして給水所は選手が一時的に密集するため、激突や転倒のリスクが非常に高いエリアになる。混雑を少しでも緩和するために、ペースメーカーはテーブルに近寄らないようにして、スタッフが先に手渡しでボトルを渡すなどの工夫があってもいいかもしれない。
 実は海外のレースではペースメーカーがいい加減なことが少なくない。日本の感覚で出場して、痛い目にあった選手はたくさんいる。
 選手の方もペースメーカーを頼りにするのではなく、コースをしっかり把握したうえで、自分ひとりでもペースを作ってレースを進められるような準備をしておく必要があるだろう。世界大会で勝負するためにも選手の〝自立〟が何よりも重要な気がしている。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

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