
激怒した横浜DeNAバウアー“ボーク判定”の何がどう問題だったのか…日米のルールの違いを理解していなかった?
横浜DeNAに2年ぶりに復帰したトレバー・バウアー(34)が9日、京セラドームでのオリックスとのオープン戦に初登板したが、2回二死三塁からボークを宣告されて、1点を失い激怒する場面があった。日米のルールの違いによる解釈の違いが原因。ただバウアーはここから大崩れして炎上することな、3回を5安打2四球2奪三振2失点(自責0)にまとめた。その気持ちの切り替えと、開幕前に日米のルールの違いを学んだことを評価する意見もある。
メジャーでは申告すれば投球動作の変更はOK
京セラドームが不穏な空気に包まれた。
この回、1点を失ったバウアーが、2回二死三塁から。オリックスの西野真弘への初球を投じると、球審の宮武賢汰氏が右手を大きくあげてボークを宣告。三塁走者の生還を認めたのだ。
バウアーは両手を広げて「WHY?」のポーズ。
すぐさま三浦監督がベンチから飛び出してきて「何?」と最初にボークを宣告した責任審判である三塁塁審の福家英登氏に説明を求めた。福家氏は、マウンドへ行き、通訳を通じてバウアーにボークの理由を説明したが、バウアーは自らの主張を怒りの表情で繰り返し、実際、投球シーンを再現までしていた。途中、両手を上げてあきれたようなジェスチャーでマウンドから離れるシーンさえあった。
その輪が解けると、福家氏が「投球動作の変更によりボークを宣告しました」と場内アナウンスでボークの理由を説明した。
現役時代に阪神、ダイエー、ヤクルトで先発、抑えで活躍した評論家の池田親興氏は、「こういうボークを取られるシーンはあまり見たことがない。何をもってボークとしたのか非常にわかりづらかったが、審判が説明した通りのルールの解釈でいえば、明らかなボーク」と解説した。
「バウアーは、投球開始時に一度、右足をプレートにかけて左足がプレートの前にに置かれた状態で制止した。審判はこの状況をセットポジションと判断したのでしょう。バウアーは、そこから左足を引いてワインドアップに入って投球をしたので、セット後に投球動作の変更が行われたと判断されても仕方ない」
公認野球規則では「投球動作の変更」は認められていない。
セットポジションの定義は、「投手は、打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を静止したとき、セットポジションをとったとみなされる」とされている。バウアーの最初の動作は、これにあてはまりセットポジションと判断された。そこから左足を引いてワインドアップで投げたのだから「投球動作の変更」だ。
ただバウアーは、次の瞬間、三塁塁審と球審にセットポジションをやめてワインドアップに入ることをアイコンタクトとジェスチャーで申告したという。メジャーでは、打者が打席に入る前にワインドアップポジションから投球することを審判に申告すれば、投球の変更は認められるというルールがある。バウアーは日本でも同じルールが適用されると勘違いしていたようだが、日本の公認野球規則では、その自己申告を認めるルールはない。
池田氏は「明らかに日米でルールが違うのだから、バウアーの主張も言い訳でしかない」と厳しい見方をしている。
一方で、米マイナーリーグでの審判経験があり、現在北米独立リーグで審判をしている松田貴士さんはXで「残念ながら日本では”申告制ワインドアップ”が訳さなかったか、訳し忘れたか、意味がわからなかったため訳さなかったかが原因で『公認野球規則』に記載がありません。せめてNPBだけでもこの世界基準にあわせるべきです。DeNAは早急に意見書を提出すべきです」(原文ママ)と提言した。