
今週F1豪州GP開幕!角田裕毅は厳しい戦いが予想される中でどう経験と実力を発揮するのか…新人レーサーが多い“追い風”も
というのも、今年は珍しく複数のルーキーがF1デビューを果たす。メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリとレーシング・ブルズのアイザック・ハジャル、キック・ザウバーのガブリエル・ボルトレートだ。
すでに昨年までにF1のレースに出場したことがあるものの、レッドブルのリアム・ローソン、アルピーヌのジャック・ドゥーハン、ハースのオリバー・ベアマンは今年が初のフル参戦。今年のF1は史上最多タイとなる24戦で争われる。ルーキーはもちろん、初のフル参戦組にとっては、いままで経験したことがない長丁場のシーズンとなる。このような状況で若手ドライバーがミスを犯したり、不調に陥ることは十分に考えられる。
その中でも注目すべきは、ローソンのパフォーマンスだ。ローソンは昨年まで角田のチームメートで、セルジオ・ペレスが抜けて空いたシートを争った。残念ながら、レッドブルはローソンを抜擢したものの、そのローソンとてシートは安泰ではない。
合同テストでのローソンのベストタイムは角田とわずかコンマ2秒速いだけで、チームメートのマックス・フェルスタッペンから0.7秒も離されてしまった。しかも、ローソンが自己ベストを記録したのは2日目で、フェルスタッペンや角田が記録したのが3日目だったことを考えると、テストにおけるチーム内のローソンの評価は必ずしも高くないと思われる。シーズン前半で何度かローソンを上回る走りを角田が披露すれば、レッドブルが獲得に動く可能性は考えられる。
仮にローソンがレッドブルの期待通りのパフォーマンスを見せたとしても、角田にはまだチャンスがある。ローソン以外のルーキーや若手の中で不甲斐ない走りしかできない者が出てきた場合だ。シーズン中に角田が他チームに移籍することはないだろうが、角田とレーシング・ブルズとの契約は2025年末で切れる。
新しいシーズンが始まる前に、角田は自らのマネージメント体制を変更。マリオ宮川、ルイス・アルバレスの2人との関係を解消し、新たに元レーシングドライバーでメキシコ人のディエゴ・メンチャカを迎え入れた。
「元々(マネージメント体制を)リフレッシュしたいなと思っていて、いい人がいないか考えていました。そんな時、知り合いからディエゴを勧められて、実際話してみて、いい感触を得られたので今年から一緒に仕事することにしました」
角田にとって5年目のシーズンとなる2025年は、2026年以降の生き残りをかけた戦いの始まりなのかもしれない。
(文責・尾張正博/モータージャーナリスト)