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世界選手権金メダリストの坪井智也が衝撃デビューを飾る(写真・山口裕朗)
世界選手権金メダリストの坪井智也が衝撃デビューを飾る(写真・山口裕朗)

衝撃の高速8連打でTKOデビュー“超新星”坪井智也の「強さはロマチェンコ級」…本家と戦った男が「日本最速世界奪取記録を更新できる」と太鼓判

 激闘の続いた両国国技館で衝撃のデビューを飾ったアマエリートがいた。2021年の世界選手権金メダリストの坪井智也(28、帝拳)だ。13日のトリプル世界戦のアンダーカードで史上初のA級合格選手のA級デビューとなる53キロ契約8回戦でWBOアジアパシフィックバンタム級2位のブーンルエン・ファヨン(26、タイ)と対戦して2ラウンド2分34秒TKO勝利を飾った。フィニッシュは驚愕の高速8連打。超逸材にふさわしい実力をアピールした坪井を3階級制覇王者で現IBF世界ライト級王者のワシル・ロマチェンコ(37、ウクライナ)級と評価したのが、そのロマと戦った男、元OPBF東洋太平洋ライト級王者の中谷正義氏(36、中谷ボクシングフィットネスジム)。坪井は元4階級制覇王者、田中恒成(29、畑中)が持つ5戦目の日本最速世界王座奪取記録の更新にターゲットを絞っているが「獲れる」と太鼓判を押した。

 

デビュー戦を圧巻のTKOで飾った坪井智也。名門帝拳が送り出す新星だ(写真・山口裕朗)

 

 「つまんねえ!」
 心ないヤジが両国国技館に響いた直後だった。
 坪井は、ボディから顔面に目にも止まらぬ4連打を叩きこみ、ワンツーを食らったタイ人は、たまらずキャンバスに寝転がった。立ち上がってはきたが、坪井は容赦なく襲い掛かった。トリッキーな真上から打ち下ろすフックを交えて連打を上下に浴びせかけ、最後はコーナーにつめて、なんと高速8連打。その前に決めた左のボディアッパーも効いていたのだろう。スローモーションのように14戦(14KO)3敗のキャリアを持つアジア2位の強打者は崩れ落ち、レフェリーが坪井のTKO勝利を宣告した。
 坪井は、特段喜びを表現することもなくプロのリングで初めての勝ち名乗りを受けた。
「うれしい。こんな大きな舞台で試合ができることを誇りに思う」と語ったものの「緊張はしなかった。いつも通り楽しんで一歩を踏み出せた」という。
 入場時には笑顔で花道を歩いた。
「8ラウンドの中で何ができるかを確認したかった。戦略を重視する中で、倒し切ることも考えないといけなかった。それができないとプロではないと思うこともある。そこができたのがよかった」
 初めての8オンス。ディフェンスの反応も良くまともな被弾は一発もなかったが、「パンチはもらっていないのに頭が痛かった。プロのグローブで受けたら、こんな感じかと。ちょっと痛かった」という。
 ハンドスピードとステップワークが際立った。パンチもバラエティに富んだ。そしてKO決着。申し分のないデビュー戦に満足感はある。
「あそこで攻めきらないといけないと、本田会長の指導を受けていた。それを練習するいい機会だと思った。相手はパンチがある選手。避けながら打っていけば倒せるということが確認できてよかった」
 アマ最強の称号を胸に28歳でプロ転向を決めた。名門、日大では1年時に全日本選手権を制覇。準決勝でのちにWBO世界ミニマム級王者となった谷口将隆、決勝ではWBO世界フライ級王者のアンソニー・オラスクアガ(米国)に大善戦をした元2階級制覇王者の京口紘人(共にワタナベ)を撃破した。日大時代はリーグ戦20戦全勝、全日本4連覇の“無双”を誇った。2021年にベオグラードでの世界選手権のバンタム級で、ウエルター級の岡澤セオン(大橋)と共に日本人初の金メダルを獲得した。不運にも五輪には、リオ、東京、パリと縁がなかったが、同じ1995年生まれの堤聖也(角海老宝石)がWBA世界バンタム級王者、井上拓真(大橋)に挑む際に、スパーリングパートナーを務め、堤が悲願のベルトを巻く姿、拓真、寺地拳四朗(BMB)と死闘を演じた前WBA世界フライ級王者、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)ら同年代のチャンピオン達に刺激を受けてプロ転向を決断した。

 

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