
井上尚弥とSNSでやりあったドヘニーを蹴った”暴れん坊”WBA王者ボールを大橋会長が「1回から打ち合いになる」と大歓迎…「武居由樹がローキック対策の指導をしなきゃ」のジョークも
大橋会長は、昨年9月に井上が7回にギブアップさせたドヘニーに対してアグレッシブなファイトを仕掛けたボールを評価した上で、このカードを歓迎した。
「井上と噛み合う。1ラウンドから打ち合いになる。ああいう風に来ると、倒されるから(これまでの対戦ボクサーは)やれなかった。どこまでこれるか」
ボールは、1ラウンドからサウスポースタイルで足を使いディフェンシブなスタイルできたドヘニーに襲い掛かった。終始、超好戦的に追いかけ回して10ラウンドには猛ラッシュ。フェザー級にしては上背はなく、一発で相手を仕留める危険なパンチ力はないが向こう見ずで、突貫小僧のようなスタイルから繰り出す、スピード、ステップイン、回転力には目を見張るものがあった。もし井上を相手にしても、このファイトスタイルを貫けるのであれば、昨年5月の東京ドームでのルイス・ネリ(メキシコ)戦のような緊迫した名勝負が実現する可能性は高い。
ボールは、試合後に井上戦について「オレが井上を止める。オレがやるべきことをやって彼を押し返す。彼はオレのように相手を押し返していくが、オレと戦う時にはそれを許さない。それを見せつけてみせる。だが、今カメラの前でそれを語っても意味はない。試合で見せることだ。この試合を実現させよう」と豪語していた。
だが、井上は、その前に5月4日に米ラスベガスの“聖地”T―モバイルアリーナでWBA2位の「地獄のパンチを持つ男」であるラモン・カルデナス(米国)と対戦することが共同プロモーターのトップランク社から正式発表されている。
来週にも都内で日本版の会見が行われる予定。
そしてその防衛戦をクリアすれば、9月には日本で元WBA&IBF世界スーパーバンタム級王者で、現WBA世界同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との統一戦も控えている。大橋会長が大歓迎しているボールのフェザー級王座に挑む試合は、その次の12月。おそらくボールも、それまでに3度目の防衛戦を挟まねばならないだろう。
指名挑戦者としては、無敗のミルコ・クエジョ(アルゼンチン)がいるが、米老舗雑誌「ザ・リング」によると、ボールをプロモートするクインズベリー・プロモーションのフランク・ウォーレン代表は「ボールは世界最高のフェザー級ボクサーであり、彼はこの階級を統一する高い能力を持つ」と、井上戦までに統一戦に挑みベルトを増やしておく考えがあることを明かしている。
WBCは、井上に8回TKO負けしたスティーブン・フルトン(米国)が階級を上げてブランドン・フィゲロア(米国)に判定勝利して王座に返り咲いており、WBOは5月4日の井上の前座で、王者のラファエル・エスピノサ(メキシコ)が、同級11位のエドワード・バスケス(米国)とV3戦を行い、IBFは、王者のアンジェロ・レオ(米国)に5月24日に大阪で同級1位の亀田和毅(TMK)が挑戦することが17日、正式発表された。
井上が「その日が来るまでお互いの価値を高めていこう」とXにリプライした通り、このカードが12月に実現する条件として、2人にとって絶対に負けられない戦いが続くことになる。