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力石政法がWBA世界スーパーフェザー級王座決定戦に挑む(写真・山口裕朗)
力石政法がWBA世界スーパーフェザー級王座決定戦に挑む(写真・山口裕朗)

超異例!「負けたら引退」「勝てば横浜にマンション」…5.28横浜BUNTAIでIBF世界スーパーフェザー級王座に挑む力石政法が「天国と地獄」の異例条件マッチを自らに課した理由とは?

 日本開催という追い風もある。実は、ランキングでいえば上位になるヌニェス陣営はメキシコ開催を主張してきたが、難しい交渉の末、大橋会長が「空気の薄いメキシコの高地でやることになれば勝ち目はないじゃ」と日本開催を勝ち取った。
 力石は、2024年にイタリアでWBCの挑戦者決定戦の経験があるが、時差ボケに悩まされ「新型コロナに感染したんじゃないかと思うほどの倦怠感が抜けず」最悪のコンディションでリングに上がった。減量も、日本であれば岩盤浴で水抜きをしていたが、現地は、ホテル内の浴槽で落とすしかなく、湿気を逃さないため、換気扇をビニールでふさいで、即席のサウナ状態を作らねばならないなど、試合以外の面でいらない苦労をしたという。力石は改めて大橋ジムのサポートに感謝を述べた上で「日本でできると思っていなかった。最高のコンディションで挑める。必ず取ります」と誓いを立てた。
 スーパーフェザー級は中量級への入り口となる階級であり、世界的なビッグネームが揃っている。WBA世界ライト級王者の“最凶”ガーボンタ・デービス(米国)と物議を醸す“疑惑のダウン”のドローを演じたWBA世界王者のラモント・ローチ(米国)、人気のある3階級制覇王者でWBO王者のエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)らが君臨していて、もしベルトを獲れば、その後の展開も面白い。
「日本人は軽量級はチャンピオンだらけだが、中量級からは日本人チャンピオンは出ていない。この後、アンディや佐々木尽の世界戦が控えている。僕が日本人で中量級でも活躍できるという先駆けになればいい」
 大橋会長は、WBA世界スーパーライト級1位のアンディ、OPBF&WBOアジアパシフィックのウェルター級2冠王者で、ウエルター級の上位にランキングされている佐々木尽(八王子中屋)の世界戦も計画しており、力石には、日本人未開の階級への突破口としての使命もある。
 そして5.28の世界戦への本格準備に入る前に気になる世界戦がある。3月29日に愛知でIBF世界ライトフライ級王座を保持しながら、IBF世界フライ級王座に挑む矢吹正道(LUSH緑)は実兄。当日はセコンドに就く予定で「絶対に勝って欲しい。兄はライトフライ級の王座を持っているつもりはないので、兄が勝たないと兄弟同時世界王者の夢はなくなるので」との熱い思いがある。
 横浜文化体育館からBUNTAIと名を変えて建て直しされたボクシングの第2の聖地で、「天国と地獄」の人生をかけて世界のベルトへ挑む力石の生き様のゴールを見てみたい。

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