
IOC新会長に初の女性、アフリカ出身のコベントリー氏が過半数49票で選ばれる…競泳で2つの金を含む7つのメダルを獲得した「黄金の少女」…日本の渡辺守成氏は4票で落選
IOC(国際オリンピック委員会)の会長選挙が20日(日本時間21日)、ギリシャで行われ、競泳で2つの金メダルを含む7つのメダルを獲得してきたアフリカ・ジンバブエ出身のカースティ・コベントリー氏(41)が女性として初めて選出された。名誉会長に就任するトーマス・バッハ氏(71)に続く第10代の会長で任期は8年。6月28日に正式就任する。今回の会長選には7人が立候補して日本からは、国際体操連盟会長の渡辺守成氏(66)が立候補したが落選した。
世界陸連のコ―氏、サマランチジュニア氏らライバルを圧倒
バッハ会長が手に持ったボードには「Kirsty Coventry」の名が書かれていた。予想に反してコベントリー氏が、1回目の投票で過半数の49票を獲得して第10代の新会長に選ばれた。今回の会長選には7人が立候補。コベントリー氏、世界陸連会長のセバスチャン・コー氏(英国)、21年間もIOC会長を務めたフアン・アントニオ・サマランチ氏を父に持つサマランチ・ジュニア氏(スペイン)の3人が有力候補とされたが、投票結果は、IOC委員の97の有効票のうち前任者のバッハ氏の強力プッシュを受けていたコベントリー氏が49票、サマランチ・ジュニア氏が28票、コー氏が8票だった。初めて立候補した日本の渡辺氏は4票に留まった。
コベントリー氏は、多様性の時代を象徴するように131年の歴史を誇るIOCにおいて初の女性、アフリカ出身の会長就任となった。
「特別な瞬間です。9歳の少女だった私は、まさか自分がここに立って、私たちのこの素晴らしい運動に恩返しをすることになるとは思ってもみませんでした」
そうスピーチしたコベントリー氏は、記者会見に臨み「これは非常に強力なシグナルです。私たちが本当にグローバルで、多様性に対して本当にオープンな組織に進化したことを示すものです。そして私たちは今後8年間、その道を歩み続けるつもりです」と抱負を語った。
コベントリー氏は、五輪の競泳女子で過去最多のメダル獲得記録を持つジンバブエの英雄。2000年のシドニー五輪に初出場、2004年のアテネ五輪では200m背泳ぎで金メダル、100m背泳ぎで銀メダル、200m個人メドレーで銅メダルを獲得、続く2008年の北京五輪では200m背泳ぎで連覇を果たし、ロンドン五輪、リオ五輪と、5度五輪出場を果たし、金2つ、銀4つ、銅1つの計7つのメダルを獲得した。ジンバブエの当時のロバート・ムガベ大統領は、彼女を「黄金の少女」と呼んだ。
2013年からIOCアスリート委員に就任し、2023年には、IOC執行委員会の選出メンバーに選ばれている。また国内では、2019年から青少年・スポーツ・芸術・レクリエーション大臣を務めている。
またプライベートでは、アスリートとして現役中の2013年に彼女のマネージャーを務めていたタイロン・スワード氏と結婚。 2019年に第一子を授かっている。
コベントリー氏は、記者会見の最後を「私の就任を世界が刺激を受ける素晴らしい機会として受け止めてもらえることを願っています。私たちは多様性を受け入れ、それがあらゆる形態の人類を最高のものにするものであり、それを活用できるようにしたいと考えています。そして、そこで考えるべきことに私たち全員が同意してもらえるに違いありません」という言葉で締めくくっている。
初の女性会長の手腕に注目が集まる。