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ドジャースの佐々木朗希は押し出し四球を出す大乱調も最速163キロをマーク(写真・AP/アフロ)
ドジャースの佐々木朗希は押し出し四球を出す大乱調も最速163キロをマーク(写真・AP/アフロ)

「佐々木朗希はガラスのエース。今の状態での全力投球は故障につながる。ローテーを守るのは無理だ」球界大御所が東京シリーズで“大荒れ”メジャーデビューした“令和の怪物”を辛辣評価

 また佐々木は2回、3回と、ほぼノーマークで2つの盗塁を許した。完全にフォームを盗まれていた。これも今後の課題のひとつになるだろう。
「走者を警戒もしていなかった。まるでオープン戦だ。まだ佐々木はローテーで投げる状態にはない。まだまだやるべきことはたくさんある。日本開催のファンサービスとして先発させてもらったんだと思う」
 厳しい意見の広岡氏は、続けてこう警鐘を鳴らした。
「ガラスのエースに見える。体ができていない状態であれだけのボールを投げると故障につながる。そこが心配だ。ドジャースは中4日では起用しないそうだが、今の佐々木がメジャーの間隔でローテーを守るのはとても無理。ドジャースは佐々木を無理させずんい大事に育てていくと思う。異常を察知したらすぐにローテーから外すだろう。まだ佐々木はじっくりと体幹を鍛えてフォームを固めねばならない状態にある。ロッテとの間にどんな約束があったか知らないが、25歳ルールにひっかかってまでメジャーにいく必要はなかったのは、そういうこと。日本でメジャーで戦える体を作ってから海を渡るべきだったんだ」
 ドジャースは、ローテー6人制を検討しており、佐々木に中4日の負担がかからない可能性が高いが、162試合という長丁場を耐えきれるかに疑念は残る。そして広岡氏は、そもそもロッテの5年間で一度も、規定投球回数をクリアしていない佐々木のメジャー挑戦には反対だった。25歳ルールで、マイナー契約となって年俸に制限がつき、球団へのポステイング譲渡金も低く抑えられ“恩返し”もできないという事情もあった。
 だが、佐々木はメジャーで確かな一歩を踏み出した。
ドジャースのロバーツ監督は佐々木についてこう評していた。
「若いピッチャーにムラがあるのはよくあること。(山本)由伸の去年に似ている。メジャーは、ストライクゾーンでストレートで勝負をしなければならない。そのことを経験を積みながら学ぶだろう」
 ロバーツ監督も、佐々木に時間が必要なことは理解しているようだ。
 佐々木自身は、公式会見で「何を学んだか?」と聞かれ、こう答えている。
「持っているもの。ストレート、フォークがどのように通用していくのかがわかった。投げてから課題が出てくるので、(シーズン)終盤の大事なところで、そういったものを無くせるように、早め、早めに課題が出てきてくれれば」
 何よりも佐々木本人が先を見据えている。
 カブス打線にまともにバットを振らせずそのストレートはメジャーリーガーを苦しめた。スプリットがコントローさえできれば間違いなく通用するだろう。広岡氏の苦言は、その才能を認めているからこそ。公式戦の2試合目の先発に注目が集まる。(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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