
なぜ2026北中米W杯出場を決めた森保監督は“批判歓迎”の異例要望をメディアに出したのか…歴代優勝国を見て感じたムーブメント
2026年の北中米W杯出場を“世界最速”で決めた日本代表の森保一監督(56)が、一夜明けた21日に千葉市内で記者会見に臨み、メディアに対して「批判ありでもかまわないので、同心円の輪を広げていただければ」と異例の要望を行った。森保監督の異例発言の裏には、目標に掲げるW杯優勝を果たすには、国中を巻き込むという“無形の力”も必要だという願いが込められている。
「メディアのみなさんも批判ありでもかまわない」
穏やかな口調から、異例ともいえる要望が飛び出した。
ホームの埼玉スタジアムにバーレーン代表を迎えた、20日のアジア最終予選第7節で2-0の勝利を収め、来年夏にアメリカ、カナダ、メキシコで共催される次回W杯出場を決めてから半日あまり。千葉市内で急きょ設定された記者会見に臨んだ森保監督は、今後へ向けて「さらにお願いをしたい」と切り出した。
「現地にいるファン・サポーターのみなさんだけでなく、ここにいるメディアのみなさんも通して、我々の力となってほしい。おこがましいと思われるかもしれないが、勝ったあかつきには日本のためになると思って我々は戦いに挑んでいく。そのためにはメディアのみなさんも批判ありでもかまわないので、より多くの方々に代表の試合を見ていただけるように、同心円の輪を広げていただければと思う」
チケットが前売り段階で完売したバーレーン戦は、5万8000人を上回る大観衆が埼玉スタジアムに駆けつけた。テレビ朝日系で生中継された一戦の平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は21.7%を記録した。
それでも、目標として選手たちと共有しているW杯優勝を目指すうえで、大きく欠けているものがある。それは1930年に第1回が開催されたW杯で、初代王者ウルグアイから最新となる2010年大会のスペインまで、22大会にわたる大会で計8カ国しか優勝していない歴史と比べれば一目瞭然だった。
「これまでのワールドカップ優勝国を見たときに、まさに国中の関心ごとにならないと優勝できないと感じている。もちろん自分たちも突き抜けた力をつけられるように、チームの競技力をさらにレベルアップさせていく。そのときに日本中、世界中にいる日本人のみなさんにもっとサッカーを見ていただき、日本代表の戦いに対して共闘してほしい。さらに大きな関心ごとにしていただければ、ピッチ上で戦う選手たちのエネルギーとなり、さらにいいパフォーマンスにつながってくると思っている」
持論に続いて森保監督が言及したのが、冒頭で記した異例のお願いだった。そもそも、なぜ批判も受け入れると、8大会連続8度目のW杯出場を、開催国以外では“世界最速”で決めた一夜明け会見の場で明言したのか。
代表への期待や愛情と表裏一体となった批判ならば、やがては新たな層を幅広く切り開いていく力になりうる。異例のお願いの背景には、厳しい意見や視線などを含めて、すべてを巻き込み、日本という国をあげての関心ごとへ昇華させていった先に、サッカーの代表チームが新たな文化の中心を担うサッカー大国としての未来が描かれている。