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阪神の佐藤輝明がドジャースとのエキシビションゲームでサイヤング賞投手のスネルから決勝3ランを放つ(写真・AP/アフロ)
阪神の佐藤輝明がドジャースとのエキシビションゲームでサイヤング賞投手のスネルから決勝3ランを放つ(写真・AP/アフロ)

「ドジャースを圧倒した阪神の佐藤輝明と才木浩人は勘違いをしてはならない」球界大御所は東京シリーズ成功がメジャー流出加速につながることを懸念「日本プロ野球は安閑としてはいられない」

 辛辣な評価を下した広岡氏が懸念するのが今回の東京シリーズの日本プロ野球への影響だ。MLBの発表によると開幕戦の日本国内でのテレビや配信などでの視聴数は、2500万人以上で、全米で過去最高だった2017年のワールドシリーズ第7戦、ドジャース対アストロズ戦の2820万人に次ぐ驚異的な数字だったという。
「ますます選手のメジャー志向が強くなるのではないか。日本のプロ野球でプレーしている選手だけでなく、子供たちの目標が、日本のプロ野球ではなくメジャーリーグになるよ。聞くところによるとメジャー側も、日本人選手を非常に評価していて、これまで以上にスカウトをたくさん日本に送り込み、プロ野球だけではなく高校や大学までチェックしている。森井という高校生が、日本のプロ野球を経由せずにメジャーと契約し、佐々木麟太郎も米国留学の道を選んでいるが、これから先は、どんどん直接メジャーへいく選手が増えてくると思う。日本のプロ野球が空洞化してしまう。日本のプロ野球は安閑としていられないよ」
 東京都立桐朋高の153キロ右腕の森井翔太郎は、日米を含めてプロ球団との接触に必要なためプロ志望届を出した上でドラフト前に各球団に指名拒否を伝えてアスレチックスとマイナー契約を結んだ。花巻東の佐々木麟太郎は、プロ志望届を提出せずにスタンフォード大へ進学、メジャー挑戦への新たなパターンを切り開いた。 
 有望選手が、日本プロ野球を経由せずにメジャーへ向かうケースが、今後は増えてくるのかもしれない。今オフには、ヤクルトの村上宗隆のポスティングによるメジャー挑戦も球団が容認する方向。広岡氏が懸念するように、日本のプロ野球が、大きなインパクトを与えたドジャース対カブスの東京シリーズを超えるくらい魅力あるものでなければ、トップ選手のメジャー流出に歯止めが効かなくなり、日本プロ野球の空洞化、マイナー組織化という事態に発展しかねない。セ、パの開幕戦は来週の28日。東京シリーズの余韻をどうプラスに転じることができるのか。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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