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衝撃の80秒KOされた武尊は試合後にロッタンと健闘を称えあう(写真提供・ONE)
衝撃の80秒KOされた武尊は試合後にロッタンと健闘を称えあう(写真提供・ONE)

ONEで衝撃80秒KO負けの武尊は本当に限界なのか…「早すぎるストップ」論争には「文句はない。弱かっただけ」と終止符…「ロッタンと再戦したいが」進退についての明言は避ける

 チャトリCEOは「ハイレベルな試合になると1秒みたいな一瞬で結果が変わる。相手がロッタンのようにパワフルであれば、なおさらだ」とこの試合を評価。試合後に武尊と話をしたと明かした上で「ONEで(現役を)続けたいと言っている。ONEでチャンプを狙っている、野杁を追いかけたいと言っている」と明言した。
 さらにロッタンと武尊の再戦の可能性さえ示唆した。
「1回で終わらないと思っていた。武尊もそれを求めている。(ONEのマッチメイクの)チームで相談したい」
 だが、チャトリCEOに現役続行を伝えたはずの武尊は、会見ではそれを明言しなかった。
「まったく次のことを考えず、この試合で体が全部壊れていいつもりで追い込みをやってきた。試合がこういう結果になって、悔しさはもちろんあるし、やりきったか?と言われたら、わかんないですけど…とりあえず今は次のことは考えていない。冷静になってしっかりと考えてまた正式に(現役続行か、引退かを)発表したい」 
 さらにロッタンとの再戦の意思を問われると「リベンジをしたいかと言われれば、もちろんしたいです。今はちょっと…この先のことは考えていない」と揺れる心を打ち明けた。
 だが、一方で、武尊が本当に再起できるのかという議論もある。
 ロッタンは、試合後に2年前から左の拳を痛めていたことを明かした上で、こう話しした。
「1ラウンドにKOができるとは考えていなかった。1、2ラウンドから、打ち合う試合をみせたいとは思っていたが、自分のパンチがあそこまで効くとは思わなかった」
 ロッタン自身がそう驚くほど武尊が打たれ弱くなっていたのである。
 某格闘技のトレーナーは、「映像で見ただけだが、あの左フックは効いていたと思う。激闘がこれまでの武尊のスタイルだが、そのツケというか、見えないダメージが溜まっていて、自らの意思とは、別に体が命を守ろうとして、脳から肉体に“ダウンせよ”というシグナルが発信されたんだと思う。それが俗にいう打たれ弱くなったということ。その兆候は見られる」という話をしていた。
 本来はスロースターターであるが、1ラウンドの反応も異常に悪かった。 
 だが、その危険信号を断ち切るほどの意思の強さがあるのが武尊ではある。ロッタンの左フックで大の字にのされたわけではない。
 会見の最後。
 主催者から「ファンからありがとうという言葉がたくさん届いています。ファンに向けてメッセージを」と促された。
「謝ってばかりではしょうがない。これだけの大会ができたのはファンの方々のおかげ。僕が格闘技を続けているのもファンの方々がいるから。変わらず応援をしてくれたファンの皆さんにごめんなさいじゃなく、ありがとうございましたと言いたい」
 そう言った武尊が「ありがとうございました」と伝えたとき、もう午後11時30分を回っていた。そして会見を見守っている野杁の姿があった。
 武尊が、後輩や多くのファンに愛されるのは、あきらめない姿とこの誠実さだろう。人々の心を揺さぶる33歳の魂の格闘家はどんな決断を下すのか。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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