
「世界ベルトのない那須川天心より中谷潤人とやりたい」フィリピンの超新星“リトル・パッキャオ”ラバーがヤバイくらい強い…東洋王座統一戦で栗原慶太を1ラウンドTKOして豪語
プロボクシングの東洋太平洋バンタム級王座統一戦が24日、東京の後楽園ホールで行われ、暫定王者のケネス・ラバー(23、フィリピン)が正規王者の栗原慶太(32、一力)を1ラウンド2分33秒にTKOで下して王座を統一した。WBOアジアパシフィック同級王者の那須川天心(26、帝拳)をターゲットにしていた栗原を陥落させたラバーは、試合後に「ベルトのない天心よりやりたいのはジュント・ナカタニだ」とWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)に対戦要求を突きつけた。
戦慄の左フックで2度ダウンを奪う
ヤバイくらい強い。フィリピンの英雄、元6階級制覇王者、マニー・パッキャオに重ねた“リトル・パッキャオ”の愛称をラバー自身は否定していたが、まさにパッキャオの再来だった。栗原との東洋バンタム級王座の統一戦。1ラウンドから、パッキャオとおなじくサウスポースタイルのラバーが、栗原に襲い掛かった。栗原のアクションに反応して左のボデイブローから弾丸のような左ストレート。正規王者はたまらず尻餅をついた。
「こうくるなという想定内だったが、パンチが見えなかった」
正規王者は立ちあがったが、暫定王者が猛ラッシュをかける。栗原はクリンチで危機を回避しようとするが、その離れ際、至近距離の左フックを浴びて崩れるように2度目のダウン。栗原は片膝をついてカウントを待ち、ダメージを回復してから、もう一度立ち上がったが、ラバーは、まるでバネでもふくらはぎに仕込まれているかのような鋭いステップインから左ストレートを放ち、まともに顔面を捉えると、田中レフェリーは、即座に試合をストップした。
「1ラウンドKOを狙ったわけじゃない。こんなに早く終わるとは思っていなかった。様子を見ようと思ったが、たまたまいいのが当たったので一気にいった」
フィリピンの超新星はコーナーに駆け上がって咆哮した。
ハードパンチャーのお株を奪われての敗戦を栗原は、こう振り返った。
「めっちゃ悔しいけどオレが弱かっただけ。負けるとすれば序盤だと思っていた。前で潰して接近戦も作り、あの飛び込みを止めようと考えていたが、タイミングをつかむ前に終わってしまった。単純な実力不足。倒された僕が言うのもおかしいが、パンチ力はそうでもない。ただ勢いが凄い。普通は、あんなにガンガンこない。そこが彼の強みであり、そこがこっちのチャンスで、そこを狙っていたがつけなかった」
14戦全勝(9KO)のラバーは 昨年12月に大阪で行われたIBF世界同級王者、西田凌佑(六島)の防衛戦のアンダーカードで前戦で眼窩底骨折をして防衛戦ができなかった栗原のベルトの暫定王座決定戦として、デカナルド闘凜生(六島)と対戦したが、ゴングと同時に左右のパンチでラッシュをかけて、わずか58秒TKO勝ちし、強烈なインパクトを残した。あまりにも早い決着と、まだ粗さも残るため、栗原陣営はチャンスがあると踏んでいた。栗原自身は「やる前から強いと思っていた。自分が下、チャレンジャーと思って臨んだ試合」と言うが、その強さは本物だった。