
「世界ベルトのない那須川天心より中谷潤人とやりたい」フィリピンの超新星“リトル・パッキャオ”ラバーがヤバイくらい強い…東洋王座統一戦で栗原慶太を1ラウンドTKOして豪語
鋭いステップインにスピードと回転力。そして何より超が3つくらいつく攻撃的スタイルは脅威だ。まさに“リトル・パッキャオ”だが「フィリピンでそうは呼ばれていない。オレの愛称はラバーボーイ(可愛い少年)だ」と、冗談か本気がわからぬ返答。「ただリングの中では虎の目になるんだ」とうそぶいた。
大騒ぎの控室でタガログ語のできるスタッフが通訳を買って出てくれた。
次に誰とやりたいか?と聞くと「(バンタム級の)4人の世界チャンピオンが日本にいる。みんな強いので挑戦したい」と指を折った。
――4人の中の誰とやりたいか。
「ジュント・ナカタニだ。4人の中で一番強い」
リング誌のパウンド・フォー・パウンドランキングで8位に上昇した無敗のWBCバンタム級王者、中谷の名前を出した。
ただ「勝てるのか?」と問うと「今は自信はないが、ここから一生懸命トレーニングして強くなる」と、そこは素直なアンサー。
中谷は西田との統一戦を交渉中だが、対戦相手が見つからない中谷とこのハードパンチャーとの激突は面白いマッチメイクになる。
アジア王者としては対抗王者に那須川天心がいる。その名前をぶつけると、「天心は世界のベルトを持っていない。ファイトマネーがいい?そんなものはいらない。欲しいのは世界のベルトだ。IBFの西田もいいな。挑戦させてほしい」とIBF王者、西田の名前もつけ加えて豪語した。
ボクシング転向6戦目で2月に元WBO世界同級王者のジェイソン・モロニー(豪州)を判定で下してWBC1位に浮上した天心にしてみれば聞き捨てならない発言だろう。
一方でその天心戦を熱望していた栗原は、対戦候補から脱落した。
「(天心戦が)遠のいたどころか、もうない。オレが相当落ちたことを認めなければいけない」
右目下を赤く傷をつくった栗原はTKO負けのダメージは見せなかった。
昨年7月のレナン・ポルテス(フィリピン)戦は2-1判定で勝ったものの、不甲斐ない試合内容に一度は引退を示唆したが、この日は違った。
「やりかえしたい。引退は考えていない」
そうリベンジを誓った。
栗原を衝撃の1ラウンドTKOしたラバーは、日本人が世界タイトルを独占しているバンタム級で、間違いなく台風の目となる。まだ世界ランクは、IBFの12位だけだが、このTKO勝利で東洋の正規王座に就いたことで4団体すべてに急上昇するのは間違いない。王者側とすれば対戦相手に指名したくないだろうが、すぐに世界の有力プロモーターが目をつけるだろう。
ラバーが言う。
「そのうちオレが人気のボクサーになって、みんなオレを追いかけるようになってくる」
ボクシングファンは、この言葉を覚えておいた方がいいのかもしれない。後楽園が、ラバーの伝説の始まりになる予感がする。