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松本圭佑が減量失敗で病院に搬送され日本タイトル戦が中止(写真・山口裕朗)
松本圭佑が減量失敗で病院に搬送され日本タイトル戦が中止(写真・山口裕朗)

ボクシング界の“ミラモン”松本圭佑が減量失敗で「白目をむいて痙攣し意識を失い」救急搬送されて日本王座戦が中止…1年間の出場停止処分で年内世界戦計画は白紙に

 プロボクシングの「LeminoBOXINGフェニックスバトル131」(25日・後楽園ホール)で日本フェザー級王座の防衛戦予定だった王者の松本圭佑(25、大橋)が24日の早朝の減量中に意識不明で痙攣をおこす状態に陥って救急車で緊急搬送され試合が中止となった。大橋秀行会長(60)は、対戦相手の同級1位の大久祐哉(28、金子)、ファン、関係各所に謝罪するとともに王座の返上を明らかにした。メインにロンドン五輪銅メダリストで元OPBF東洋太平洋&WBOアジアパシフィックフェザー級王者の清水聡(39、大橋)と、元日本&WBOアジア同級王者の阿部麗也(31、KG大和)のフェザー級10回戦が繰り上げされ興行は行われるが、大橋ジムは希望者の払い戻しに応じることを発表した。

 異例の払い戻し対応も

 まさか井上尚弥を擁する“名門”の大橋ジムのボクサーまで…。ボクシング界で問題となっている水抜きのミスによる減量失敗がまた起きた。この問題には、細心の注意を払ってきて、これまで一人も、体重超過の選手をジムから出してこなかった大橋会長も秘蔵っ子の犯した失態に神妙な面持ちだった。
「この試合を楽しみにしてくださったファン、そして何よりここまで準備してくれた大久選手、金子ジムさんに本当に申し訳ない。これだけの舞台を用意してくれたLeminoさんや関係各所にどれだけの迷惑をおかけしたか。いくらお詫びをしてもしきれない。しかもチャンピオンカーニバルという大きな舞台。プロとして絶対にやってはならないことだった」
 何度も謝罪の言葉を絞り出した。
 松本の担当トレーナーで父の松本好二氏も「皆さんにご迷惑をかけて本当に申し訳ありません」と頭を深く下げた。
 松本は、元々減量に苦労していたが、2023年10月に結婚後は、間食にさえ目を光らせる妻のサポートで、節制に努めて減量はスムーズにクリアできるようになっていた。だが、今回は24日の午前5時から自宅の風呂で汗を出す“水抜き”に入ったが、ある段階から汗が出なくなった。これが“水抜き”の怖い現象。突然、代謝が落ちて、いつもは落ちる体重が落ちなくなってしまうのだ。焦った松本は、なんとか汗を絞りだそうと、そのまま風呂に入り続けたが、激しい動悸と目眩が起きはじめて、完全な脱水状態に陥って体を横にしたまま動けなくなった。周囲は水分をとることを薦めたが、意識朦朧となるなかでも落とさねばならないとの使命感が無意識に働いたのだろう。水さえ口にすることをせず、やがて痙攣をおこして白目をむいて意識不明の状態になったため病院へ救急搬送された。
 点滴などの応急処置で意識を取り戻し命に別状はなかったが、試合のできるような状態にはなく、大橋会長は、防衛戦の棄権、中止と王座の返上を決断した。
 今回のタイトル戦には、日本プロボクシング協会が新たに導入した30日前、2週間前の「事前計量制度」が実施された。30日前は、リミット(今回は57.15キロ)の12%増以内(今回であれば64キロ)、2週間前では7%増以内(今回であれば61.15キロ)で、いずれもクリアしていたが、関係者によると、22日の練習後に異常な疲れを訴えており、抵抗力の落ちた肉体が風邪などのウイルスに侵されていた可能性もある。
 病気による体調不良であれば、出場停止処分を回避することができるが、大橋会長は、事の重大さを受け止め、一切の言い訳をせず、JBCの処分を受け入れる考えを示した。減量の失敗による体調不良での棄権の場合は1年間の出場停止処分が下されることになる。

 

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