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巨人の新外国人キャベッジが2ラン&2本二塁打と大暴れした(写真・黒田史夫)
巨人の新外国人キャベッジが2ラン&2本二塁打と大暴れした(写真・黒田史夫)

なぜ巨人は5点差逆転のサヨナラ勝利に成功したのか…阿部監督の「若林&キャベッジ」の超攻撃的1、2番コンビの決断理由と「甲斐&マルティネス」の新戦力躍動

 プロ野球のセパ両リーグが28日に開幕。巨人は東京ドームでのヤクルト戦で5点差を追いつき、延長10回に6-5でサヨナラ勝ちを収めた。サヨナラのヒーローは昨年西武からトレードで移籍したきた4安打の若林楽人(26)。また新加入のトレイ・キャベッジ(27)が2ランを含む3安打、ソフトバンクからFAで移籍してきた甲斐拓也(32)が3安打、中日から移籍のライデル・マルティネス(28)が移籍初勝利を手にするなど新戦力が躍動した。連覇を狙う巨人が前評判通りの強さを示す逆転勝利となった。

 

 やはり2025年の巨人は手ごわい。
 5-5で迎えた延長10回。ヤクルトの6番手の清水から先頭の甲斐がセンター前ヒットで出塁した。詳しくは後述するが、9回の3点差を追いつく同点劇も甲斐のヒットから始まっていた。阿部監督が言う。
「甲斐の出塁であきらめないんだということがチームに伝わった逆転劇だった」
 門脇がバントを決めて、サヨナラの走者をスコアリングポジションに送る。代打大城は三振に倒れたが、ここまで3安打の1番の若林に打席が巡ってきた。昨年6月に松原との1対1トレードで西武から獲得した5年目の外野手である。
「集中して相手ピッチャーとしっかり対戦することを考えていた」
 カウント1-1からのインローの148キロのストレートを捉えた打球は、前進守備を敷いていたレフトの右を抜けていった。若林は歓喜のウォーターシャワーを浴び、ベテランの長野が抱きついた。
 5点差の逆転劇。
 4安打の若林が「明日が逆に不安です」と言えば、阿部監督もそのサヨナラ打に興奮していた。
「いやもう興奮しました、はい、ナイスバッティングでした」
 先発の戸郷が5回に崩れて4点を失い、6回には2番手の堀田が、サンタナに特大の一発を浴びて7回を終わって0-5。もうワンサイドゲームに近かった。ヤクルト初の開幕投手に抜擢された奥川を攻めあぐね、継投策に入られていた。
 だが、8回に先頭の若林がレフト前ヒットで出塁し、ここまで2本の二塁打を放っていた新外国人キャベッジが、「狙っていた」という2ランをライトスタンドに叩きこみ、2-5に詰め寄ると潮目が変わり始めた。
 3点を追う9回だ。ヤクルトのクローザー田口から先頭の甲斐がセンター前ヒットで出塁した。阿部監督の熱いラブコールを受けてソフトバンクからFA移籍した男は開幕戦からいきなり存在感を示した。一死となってから代打の長野が、しぶとく右中間に打球を落としてつなぐ。一死一、三塁から若林がファウルで3球粘り、右へおっつけてタイムリーを放った。これで2点差。そして絶好調のキャベッジを迎えて、ヤクルトバッテリーの警戒心が過剰になったのだろう。スッポ抜けた打球が頭付近を襲い、避けた右手甲を直撃したのだ。プロテクターの上からの死球で大事に至らなかったが、キャベッジは、その右手を叩きつけるような仕草を見せて、放送禁止用語を連発して激怒。一塁へいくとサンタナにも不満をぶつけていた。
 一死満塁となり田口は明らかに動揺していた。
 続く吉川がセンターへ2点タイムリー。土壇場で同点に追いついたのである。そして10回には、中日から移籍した絶対守護神のマルティネスが「最初は少し緊張した」と言いながらも、3人でピシャリと締めて流れをキープし、サヨナラ舞台をお膳立てした。

 

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